第69章 嵐、再来
春日が申し訳をなさそうにしながら
杏寿郎に声を掛けて来て
杏寿郎が師範にそう言いながら頭を深く下げた
「そうだったな、杏寿郎。邪魔をしたな。
お前達は、めかしこんで今から逢引か?
お熱い事だ。なら、お前の愛しい杏寿郎と
精々楽しんで来るんだな。あげは。
思ったよりも長居していた様だしな。
そろそろ、私もお暇をさせて貰うぞ」
杏寿郎が自分の汗を流して支度を整えに
屋敷の中へと戻って行くのを
3人で見送って
帰ると言って居た師範を
玄関を出て通りの所まで見送ると
丁度それと入れ違いで迎えの馬車がこちらに
通りを曲がって向かって来ているのが見えて
「あげは様も、
お持ちになられますお荷物のご準備を」
そう後ろから屋敷の使用人に声を掛けられて
部屋に荷物を取りにあげはが戻ると
丁度部屋の中では
杏寿郎が風呂を終えて着替えをしていて
思わず 慌てて着替えをしている
杏寿郎に自分の背中を向けてしまったのだが
「どうしたんだ?あげは、
別にいつも見てるだろう?
君は俺の身体を、毎日の様に見てるハズだが?
今更、俺の裸を見て、恥ずかしがる必要も、
変に気を遣って、遠慮をする必要も無いだろう?」
その言葉の通りに 今更遠慮をする様な
間柄ではないのはその通りなのではあるのだが
「そっ、それは……ッ、
そうなのにはありますが…」
「そう言って、恥ずかしがる君を、
俺が見たがるからな。
あげは、そうやって
恥ずかしそうにしている君は俺からすれば
堪らなく可愛らしい事、この上ないからな!」
「きょ、杏寿郎っ。そっ、それは、
お褒めになられているのでありますか?
それに、そうしている時は…、
ゆっくり杏寿郎のお身体を
見ている余裕なんて、
全く私には…、その、ございませんので…」
「……っ、あげは。全く、君は…
俺をどうしてくれるつもりなんだ?」
自分の言葉の意味が一番出来てない
当の本人である あげはは
杏寿郎の返事を聞いて首を傾げている