第69章 嵐、再来
その一連の早業に 鬼も首を斬られた事を
気が付いた時には終わっているのだとも
私と透真さんは師範は同じだけど
得意とする戦い方のスタイルは違うし
自分の伸ばした能力も違う
それは あの師範が
”同じ水の呼吸だからと言って
同じ戦い方はしなくていい”
と言ったその一言が全てのきっかけだった
同じ水の呼吸でありながらに
雫波紋突きを極めた師範らしい考え方だった
でも だからと言って
私にとって 天竜が使い道がない訳じゃない
あの師範の 雫波紋突き 天竜から
私にも得られる物は存在してるのだから
私には師範ほどの筋力はないけど
その代わりに 複合呼吸と二段呼吸があるし
鏡の呼吸があるんだから
自分には自分にできる方法で…
天竜にアレンジを加えて 自分仕様すればいい
この目の中に残ってる あの時の師範の天竜
天竜は 5つの大きな波紋からの水流で渦を作り
気を 一瞬にして龍の形に練り上げる
でも 威力は大幅に増すが
持ち味のスピードを大きく損なう
なら あそこまでの大きな龍にしなければいい
例えば その5を3に もしくは2にすればいい
速度と威力の両立が出来るし
私でも扱える様になりそうだ
普通の 雫波紋突きと
天竜は 速すぎて見えないが
気が渦を成すから 回転を 突きに加えてある
だから 渦を成して行く
単純な突きに回転をさせて
ドリルの様にして
切り揉みしながら 放つと言うのが
正しい表現なのかも知れない
と言うのは目に残ってるから
見れる様になったんだけども
スゥウウウウッ と水の呼吸をして
「水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突き」
本来なら 一点に 突きを集中させる型
幾つもの浮かぶ波紋の中心の芯を
一点集中する型だ
ふぅっと
本来の水の呼吸の雫波紋突きを確認して
あげはが息を細く吐き出した