第69章 嵐、再来
ジッとその 女性の青い瞳が
こちらの姿を映して居て
上から下まで ジロジロと品定めする様に見ると
『ふむ。まぁ、悪くは無いが。
槇寿郎の方が、男前だのぅ。
おぼこい顔立ちをしてるのは、
お前が母親似の所為か?』
顔立ちがおぼこいと言われて
杏寿郎がムッと眉を潜めると
「俺の容姿は、どうでもいいと思うのだが。
突然、家に現れて、その言い草もどう言った
了見からなのか俺には分かりかねるが。
それよりも、まずは俺の質問の答えて頂きたい。
貴方は何者だ?何故貴方は、ここに居る?
俺と話をする前にお教え願いたいが?」
ふぅっと目の前の女は
俺が威圧するのも構う様子もなく肩をすくめると
『どうでもいいか?そんな事はないだろう?
顔はある程度は大事だぞ?男女の間には特にな。
それに吉原では、そこが大分に大きいぞ?
持って生まれた容姿一つで、
売られる見世が違うからな。
見てくれなんぞ、関係ないとよく世迷言を
寝物語で得意気にして言う男も居るが。
そんなやつに限って、
外見の好みには割と、細かくて五月蠅いもんだ。
ああ、私か?私は単に
うちの馬鹿弟子の乳を育てた、
男の顔を物見雄山に見に来ただけの用事だが?』
うちの馬鹿弟子と言う言葉を聞いて
前に父上が言って居た言葉を思い出した
もしや
この女性が あげはの育手なのか?
父上と同期だと聞き及んでいたがどう見ても
20代の後半や30代の前半でも
通る様なそんな容姿をしている
幾つなんだ?
『何、見物がてら。ちょっーと、
お前を揉んでやろうと思って来たまでだ。
お前があの馬鹿の乳を揉んだ分、
私がお前を揉んでやろう。品定め程度にな。
ああ、違うか。揉むではなく、
軽るーく、扱く…の方が正しいか?』