第68章 酔って酔われて飲まれる夜に… ※R-18
そのどこかで嗅いだ事のある香りの
記憶をあげはが自分の脳の中から探す
部屋には既に布団がきっちりと敷いてあって
行燈の明かりも落とした明るさになっている
私と杏寿郎が 台所に居る間に
誰かがこっちの部屋を
整えてくれたのだろう
ああ そうだ 思い出した この香りは
白檀の香りのお香だ
その深い香りは
上質の白檀を使っているお香なのだと分かる
「あの…、こちらも、杏寿郎のご命令で?」
「いや、俺はそんな命令をした憶えは無いが…。
心当たりが…な、無い事もない…」
あげはの質問に答えながら
杏寿郎が自分の部屋を見回して
工藤だな…と杏寿郎は その部屋の
整え具合を見て感じ取って居て
適当に寛げるようにしてくれとは言ったが
こっちの手回しをして来たかと
そんな風に思わなくも無いが
「あげは…」
抱えたままにしていたあげはの身体を
敷いてある布団の上にそっと降ろすと
どちらからともなく 唇を合わせて重ねる
角度を変えながら 口付けを繰り返しつつ
「んんっ、はぁ…、杏寿郎…」
「ここから、周囲を気にせずに
ゆっくり出来るだろう?」
着物の上から あげはの身体を弄ると
その帯に手を掛けて スルスルと解いて行く
薄暗い中に ぼんやりと
あげはの肢体が浮かび上がるかの様に見えて
「あげは、綺麗だな…、君は」
その工藤の心遣いに
心の中で杏寿郎は感謝しながら
あげはとの濃密な夜を過ごした
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