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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第9章 療養編 煉獄家にて


「あ、槇寿郎様。明日の朝に、
お伺いさせて頂きますので。
明日の朝は、皆で朝食にしましょうね?」

そう言ってあげはがにっこりと笑った


ーーー次の日の朝

杏寿郎が朝食を摂りに居間へ向かうと
信じられない光景が目の前にあった

一日中寝巻きのままで過ごし 
髭の手入れもしない父が
髭を剃り 着物に着替え 髪を整えて
そこに座っていたからだ

いや 父上がそうしたのではなく
全て 彼女がしたのかもしれないな
あげはが満面の笑みを浮かべて
その隣に座っていたからだ

その日の朝食は 
いつもの朝食とはちょっと違っていて
一つ一つは 手の込んだ物ではないが
小さな小鉢が多い気がする

エテカレイの干物 卵焼き やたらに野菜が
入った味噌汁 ほうれん草のおひたし
豆腐は湯豆腐になっていている様だった

会話らしい会話もないが…
父上と共に食事をするのは
もう 随分と久しい気がする

「杏寿郎さん、お代わりよそいましょうか?」
隣に座っていたあげはに声をかけられて
空になった茶碗を差し出した
「あ、ああ、頂こう」
山盛りのご飯のよそわれた茶碗が
あげはから戻ってくる

こんなやり取りをしていると
まるで夫婦になったようだ…と考えていると
「兄上と、姉上はそうされていると、
ご夫婦の様ですね」
とニコニコしながら千寿郎が言って
「ふんっ、どうでもいい…」
くだらないと言いたげに槇寿郎が言った

朝食を済ませると 千寿郎があげはに
片付けの手伝いを申し出た
「お二人は、お庭でも少し歩かれては?」
食後の散歩を勧められて槇寿郎は

「一日で、随分…懐かれてる様だが…。
どんな手を使って、千寿郎をたぶらかした?」
「たぶらかすなんて、姉上は、
その様な人ではありませんよ!父上」

あげはの事を姉上と呼んでいる上に
今まで俺に意見をする事もなかったのに
あの大人しい千寿郎が…

気を取られているとあげはが
「槇寿郎様が、
ほったらかすからじゃないですか?」
「知った様な口を、
…一体何を企んでやがる?女狐」

ー女狐ーとは
また 随分な言われ様だな…
昨日も言われたけど

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