第68章 酔って酔われて飲まれる夜に… ※R-18
その糸を杏寿郎が 私の口から
透明の糸を切るようにして拭い取り
その同じ指で 自分の唇を拭う
彼のその仕草に色気を感じてしまっていて
目が逸らせないままで
彼を見つめてしまっていた
「このまま、あげは。我を忘れて
酔ってしまってもいいだろうか?君に。
もっと、君に酔わされて、酔ってしまいたいし。
君には俺に、酔って貰いたいからな?」
酔わされるのは お酒になのか
それとも 杏寿郎になのか
既に酔いが回ってる頭では
考えがどうにも纏まらない
今 自分が酔ってるのは
お酒なのか 杏寿郎の口付けなのかも
自分にもどっちなのか分からないままにあって
ぎゅっと杏寿郎の着物を
あげはが掴むと
「んっ…、
酔わせて…下さいますか?杏寿郎…。
私も、貴方に…、
もっと、酔ってしまいたくございます。
酔いたい、酔ってしまいたいのです、今」
「そんな嬉しい事を、言ってくれるのか?
あげは。君の口から
そんな事を言われてしまったら、
俺の方が君に、酔ってしまいそうだ。
あげは、君は俺を酔わすのが上手いな…」
そのまま 身体を畳の上に倒されて
サラ…っと あげはの髪を一房掬い上げて
杏寿郎が その髪に口付けを落とす
「君の香りが俺を酔わすからな、あげは」
そう挑発的な視線で杏寿郎が
上から見下ろしながら
その手にあったあげはの髪を開放すると
ちぅ…と こめかみの辺りに口付けを落とした
首筋に顔を埋めて 耳のと首の間の辺りの
匂いを杏寿郎に嗅がれているのを感じる
「んっ、なりませ…ん、杏寿郎、嗅がないで…ッ」
「それは難しいな、あげは。
俺を酔わせてくれるんだろう?君で。
君の身体からは、甘い香りがするが
前よりも、香りに甘さが増したようにある」
杏寿郎の手が あげはの乳房を着物の上から
確かめる様にして弄って来るから
びくっと反応してしまって身体が跳ねる
「んっ、はぁ、…あっ、
杏寿郎ッ…お待ち…下さいッ」