第68章 酔って酔われて飲まれる夜に… ※R-18
ふっとその顔が笑顔に変わって
杏寿郎がそのグラスの残りを
グイっと一気に煽る様にして傾けて
グラスに口を付けると
ゴクリとその喉が動いて
あのお酒を 杏寿郎が飲み干す様子から
目が逸らせないでいて
「おっ、お飲みになられたの…ですか?杏寿郎」
「ああ、飲んだが?酒は飲む物だろう?
どうせ、まだ、グラスに1杯あるんだ、
俺が飲んでも、
君が飲んでも同じ事だろう?あげは」
前の時は杏寿郎にはこれを飲ませたくなくて
ひとりで全部飲んでしまったけど
あの時の自分の様に
杏寿郎がなってしまうのかと思うと
ドキドキと自分の胸がどうにも騒がしく感じて
「こっちは、どうする?
君が飲むか?あげは」
まだ グラスを満たしている
もうひとつのグラスを杏寿郎が手に取って
私が飲んだとしても 杏寿郎が飲んだとしても
そっちのグラスの分も飲めば 多すぎるのは確かで
「私が飲むにしまして…も、
杏寿郎がそうするにしましても。
それ全部は流石に、多すぎにありますので…ッ」
「だったら、一緒にこれの
残りを飲まないか?あげは。
これが多すぎて、乱れすぎてしまって困るのなら。
一緒に飲めばいいだろう?あげは。
そうすればそれも気にならなくなるぞ?」
そう杏寿郎が耳元で囁きかけて来て
なんて提案をして来るんだと
そう思ってしまわなくもないが
ふぅっと耳に掛かる吐息も
吐息混じりの色気のある声も
じわじわと私の中に熱を
篭らせて行くだけでしかなくて
はぁっと自分の身体の中に
留めて置く事が出来ずに
思わずあげはが
熱い吐息を漏らす様に吐き出した
「一緒に乱れてしまえばいい」
その色気を孕んだ囁きに
どきりと胸が跳ねる
「杏…ッ、杏寿郎…?
何をおっしゃって…ッ、んッ」
スッと杏寿郎があげはの顎に手を添えて来て
「あげは、口…開けるか?」
伏し目がちにした目で 杏寿郎がこちらを見て来て
もう 飲ませる気で杏寿郎が居るのは
その顔と言葉からも分るから
今以上の熱を拗らせると
自分から我慢ができなくなってしまて
杏寿郎を求めてしまいそうで 怖い