第67章 春日の決意とカナエの配慮
そう一瞬 しのぶの顔に影が降りたと思うと
すっといつもの顔にすぐに戻って
何とも無い様な笑顔になる
「その…、俺が
言う事じゃないかも知れないけどさ」
「ダメですよ、善逸君。私の事まで
気に掛けて貰う必要はありません。
今は、善逸君は、
自分の命を最優先にして下さい。
心配は要りません。私は大丈夫ですから。
私からのお話は以上です。
善逸君も鍛錬しに戻ってください」
そう診察室から 追い出されてしまって
バタンとドアを閉められてしまう
善逸はそのドアが閉まっている
診察室のドアを静かに眺めていた
あげはさんには煉獄さんが居て
カナヲちゃんには炭治郎が居て
いつの間にか伊之助も
アオイちゃんと良い感じになってるしッ
まっ まあ 俺は 禰豆子ちゃん一筋だけどね?
でも…
しのぶさんにもさ
そんな相手が居たらいいのに…なって
そうしたら 今の しのぶさんの音も
変わるのかなってそんな事を
俺は考えてしまっていた
「師範からの話、終わった?
善逸、稽古…、呼びに来た」
「あっ、ありがとう。稽古ね。行く行く」
と言うか 俺初めてカナヲちゃんに
話しかけられたかも?
機能回復訓練の時も 無言だったもんな
俺からあげはさんの思ってる事を
カナヲちゃんに話そうと思えば話せるけど
しのぶさんは炭治郎にって言ってるから
俺からは敢えて何も言わない事にした
ーー
ーー
ーー
炎屋敷に戻ると 時刻は19時過ぎで
夕飯の用意が整ってると言われて
居間に食事を摂りに行く前に
「すいません、遅くなってしまいまして。
杏寿郎、ただいま戻りました」
部屋に一度 荷物を置きに戻って
中に居た杏寿郎に声を掛けた
「ああ、お帰り、戻ったんだな。あげは。
いや、気にしてくれなくていいぞ?
元はと言えば俺が君と春日が
屋敷を出る時間を遅らせてしまったからな。
それよりも、どうだった?引き振袖への
仕立て直しは、問題なく出来そうなのか?」