第67章 春日の決意とカナエの配慮
「ああ、なら、〇と×があれば
君が、紙を指す手間が減るし。
はい、いいえで答えられる質問なら
俺との会話もしやすいな」
環の労力を考えて
〇と×を更に紙に書き加えて
〇と×で答えられる様な
簡単な質問を環に幾つかしてみた
「環、そろそろ、別の質問もいいか?
俺はさつまいもが好きだが。
君は、何が好きなんだ?」
ちょんちょんと紙の横を移動して
あげは
とその嘴で指して行くから
思わず笑いが零れてしまって
「そうか、俺もあげはが大好きだ。
君と俺とは気が合うかも知れんな!」
要とは任務の移動中に
色んな話をした事があるが
環と話そうと思えば 移動しながら
手軽に…とも行かないな
コンコンと環が嘴で机を突くと
杏寿郎の視線を紙に向けさせて来る
「ああ、すまない、考え事をしていたな」
て・が・み
「ああっ、そうだ、そうだったな、手紙。
待っていてくれ、すぐに書くからな」
あげはへと宛てた手紙を環に託すと
その白い鴉が見えなくなるのを
部屋の窓から見送った
窓を全開にしていたので
窓を閉めて
ふと視線を移動した時に
壁際に並んで掛けてある
あげはの隊服が目に留まった
「女性向けの隊服は、形が色々あるな」
男性向けの隊服とは形が明らかに違うし
胡蝶の物と甘露寺の物は違うし
胡蝶の所の継子の物もまた違うからな
あの列車の時はこっちの
裾の丈が短いのを着ていたな
「ん?別の色のもあるのか…」
裾の丈の短い形の物に
色味が青い物があって
列車で着ていたもの違って居たが
その隊服を 見て気が付いた事があった
「これは…あの時の甘露寺が言ってた
あげはに渡したと言う、甘露寺と
お揃いの形になってる隊服だな。
ああそうだ、宇髄に貰った
女性向けの忍の装束があったな」
結納の時に宇髄から
またあげはに着せろと言われた
用意していた忍装束を
包みから取り出すと
言葉を失ってしまった