第67章 春日の決意とカナエの配慮

春日が大きく目を見開いたままで
話す事も出来ずに　固まってしまっていて

「え、あ、春日さん？如何なされましたか？」

「うっ、ぅう…、あげは様～。
春日は…、春日は、一生あげは様に
お仕えをさせて頂きたく…ございます」

そういつもの調子で春日が
あげはに訴え掛けて来たかと思ったら

「あっ、あの…春日さん、それは…」

スッと春日が真剣な表情に変わって


「冗談ではございません。あげは様。
私にも、使用人としての意地がございます。
使用人から、この様な申し出をするなど。
厚かましいとは、
承知でお願いしたくあるのでありますが。
将来、炎柱様とご一緒になられて、
今の炎屋敷を払いになられて。
煉獄のお屋敷に、
お戻りにとのお考えがございましたら。
その時には春日を、是非に
あげは様にお供させて頂きたく…。
あげは様に、お願いを
申し上げたい次第なのでございます」


その春日が向けて来る真剣な表情と言葉に

春日がこちらに伝えたいとせん事が理解出来て


炎屋敷の使用人である身である春日が

炎屋敷の主人である杏寿郎ではなくて

私に一生を仕えたいのだと言って来て


「あの、しかしですが。春日さんのお言葉は、
私には勿体ない位の申し出にありますし。
それに、春日さんは炎屋敷の、延いては杏寿郎に」

いいえと春日が首を左右に振ると

「工藤より、お話は伺っております。
あげは様も本来でありましたら、
鏡柱としてご自身のお屋敷を
構えてもいい身であられると。
そうであるのであれば、屋敷こそは
炎柱様とご一緒でありましても。
炎鏡屋敷とあるべきにあります。
現に継子様のご指導も共になさっておられますし、
あげは様の専属の
使用人が居てもいいはずにあります！」


そう春日が両手の拳を握りしめて
こちらに力説して来る