第67章 春日の決意とカナエの配慮
そう申し訳なさそうにしながら
春日があげはにお伺いを立てて来て
「あの、春日さん」
「はっ、ハイッ!あげは様」
「明日の朝の支度…、
その、春日さんにお願いをしても?」
それまで緊張していた春日の表情が緩んで
満面の笑みになると うんうんと
春日が首を何度も縦に振ると
「勿論にございますっ!!あげは様。
お許し下さり、ありがとうございますっ!
この春日、精一杯、あげは様に
お勤めをさせて頂きたくございます!!」
「お礼なんて…そんな、でしたら
春日さんの羊羹や、団子以外の
お料理…でお好きな物をお教え頂いても?」
パァアアッと春日の顔が明るくなって
「あげは様~、春日はあげは様に
お仕えする事が、できまして。
幸せ者にございます、その様なお気持ちを。
私の様な者にまでお向け下さるとは…ッ」
「いえ、春日さんには、感謝をしているのです。
私は長らくに、蝶屋敷で過ごしておりましたから。
あちらの屋敷の者は、
家族の様に親しんでおりましたから。
杏寿郎さんや炭治郎君達が居るとは言え。
突然に現れた、私と言う存在を
炎屋敷の方に受け入れて貰えるのだろうかと言う
不安もありましたので」
あげはがその春日の顔を
穏やかな笑顔を浮かべながら見つめる
「あげは…様、その様なご遠慮など…
春日になどはご不要にありますものを。
我々屋敷の者々は、炎柱様が
お見初めになられた方でありましたら。
間違いはないと信じておりましたので」
「その、あの時は杏寿郎さんが先に
人も払っておりましたので、挨拶らしい
挨拶を屋敷に来て本来交わすべき時に
交わしておらずでしたので。
無礼で厚かましい、女だと
思われて無いかと心配でありましたし。
それに…、炎屋敷で歳の近いお友達が
出来ると思ってませんでしたので。
春日さんには、随分と私は救われております。
カナエちゃんの、振袖の話にしても…
春日さんがおられなければ、
到底私にはその様な発想は、
考えにも及びませんでしたので」