第67章 春日の決意とカナエの配慮
どうぞと 春日が
あげはに玄関の前に待機していた
馬車に乗るように促して来て
馬車に乗り込むと
カポッ カポッと馬の歩む音と
馬車が軋む音がして
ゆっくりと移動し始める
「でも、春日は、安心しました。
もしかしたら…、その今日は日を改めなければ
ならないかと思っておりましたので。
ああ、明日の馬車の手配もして置きますので」
春日の言葉が気になってしまった
明日の馬車…と言うのは
「あの、春日さん。
その、明日の馬車?と言いますのは…」
「ええ、あげは様に炎柱様がご自身で
お着物を見立てにお出かけになられると。
お伺いしておりますが?
その、そのまま、明日はあちらに
お泊りになるともお伺いしてございます」
そう言って 春日が頬を赤らめて
空中に大きなのの字を書くと
言っちゃったと言わんばかりに自分の頬を押える
「え?泊まる…?私は何も…杏寿郎からは
着物についての事は聞いておりますが。
それが、明日だとも、ましてや、
明日は他所に泊まるとも…聞いておりませんが」
と春日に言って ハッとある事を思い出した
杏寿郎が明日 私の着物を見に
煉獄家が馴染みにしている
あの大きな呉服屋に行くつもりなのなら
「あの~、あげは様?
いかがなさいましたか?
あげは様のお顔が…赤うございますが?
あの白無垢のお仕立てを依頼なさった後に、
街からお戻りになられました炎柱様からは
お喜びのお言葉を頂戴いたしましたので。
春日としても、あそこを
ご紹介した甲斐がございましたので」
そう春日が紹介した甲斐があったと言って来て
そうだった 杏寿郎が言ってた
春日さんにあそこの洋館の連れ込み宿がいいと
力説されたと言ってたんだった
そうだ あの時…
今度は泊りで来たいと杏寿郎が言ってたし
本当に泊まるつもり…で居るのか
いや 杏寿郎はそうすると言った事は
全てそうするタイプではあるのはあるが