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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第9章 療養編 煉獄家にて


「あげは…お前っ」
「あ、それとも、槇寿郎様はもう私は
年頃ではないと仰りたい?」

背後から声が聞こえて 
今 一瞬で俺の背後に回ったのか?
風…の揺らぎをわずかにしか感じなかった

「…あ、これ…、お預かりしておきますね?」
と言ったあげはの手には槇寿郎の持っていた
酒瓶がいつの間にかあって

「お前っ、いつの間に」
取り返そうとした槇寿郎をひらりと
あげはが飛んでかわすと
ドスっとその背中に針のような物を打ち込み
薬液を注入すると

「同意を頂くのが本来ですが、
悠長な事も言ってられないので
毒ではないですので、ご安心を」と言った

「お前、何を注入したんだ?俺に」
「単なる、気鬱のお薬ですよ、
一月効果がありますよ?
まぁ今の感じだとそこまでそっちは
大丈夫そうですけども。
もう一つの方は…別のお薬です」
「あげは!ここでは目立ちすぎるし、
中に入ろう」

あまり外で派手に立ち回られると都合が悪いと
ご近所の目もあるし
変に噂が立っても良くないしなと
杏寿郎に止められて家に上がる事にした

「お邪魔いたします」
と挨拶をして家に上がると千寿郎が
居間へあげはを案内するとお茶を運んで来た

槇寿郎はそのまま自室へ
戻ってしまったようだった

「どうぞ、あげは様。お茶です」
「うん、ありがとうね。千寿郎君」
ニコニコと笑いながらお茶を飲んでいる姿は
とても穏やかで美しい女性なのだ

先程の父上さえ気圧されるほどの威圧感は
今のあげは様からは感じられない
別人じゃないかって思うほどに…


居間の襖が勢い良く開いた
そこには鬼のような形相の槇寿郎が立っていて

「あげはっ…お前、俺の体に…何をしたっ…」
「お酒…、お飲みになりましたね?ダメですよ」
「俺は、何をしたと聞いている!答えろ!」
「私の質問にお答えして頂けるのなら、
お答えしますが?」
「さっさと言え…」

「私の手紙は、お捨てに?」
「読んでない…だけだ、取ってある…」
と決まりの悪そうに答えた

「私が、先程注射したのは、アルコール、
えっと…つまり、お酒ですね。
それを飲むと、すっごく頭の痛くなるお薬ですよ」



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