第66章 秘めないヒメゴト ※R-18
じっと赤い瞳がこちらを見つめていて
肩の力を抜く様に促すように
杏寿郎の手が
あげはの肩を撫で下ろして行く
「緊張しているのか?あげは。
君は可愛らしいな。もう、俺とは何度も
身体を重ね合った仲だろう?
こうしてると、君がこの屋敷に
来た日を思い出すな。
部屋まで運ぶか?あの日の様にな」
そう 杏寿郎の言葉に あの日
炎屋敷に来た日の事を思い出してしまう
「自分で歩けますから…、歩きますので。
運んで貰わずとも、大丈夫にあります」
「あの時の…、あの部屋でいいか?」
そう杏寿郎が あげはの
耳元で囁き掛けて来て
あの部屋と杏寿郎が言って居るのは
この屋敷に来た日に身体を重ねた
大きな布団だけがある小さな和室の事で
「元々はあの部屋は、
瞑想をする為の部屋だったんだがな。
瞑想ならしようと思えば
部屋でも、道場でも出来るし、
ちょっと、あの時とは
部屋の仕様を変えてあるぞ?」
そう言われて あの小さな
布団しか無かった部屋に入ると
4畳半ほどの部屋は
部屋の仕様を変えてあると
杏寿郎が言って居た様に
その装いを変えていた
無地の壁紙が赤い大柄の花柄の物になって居て
その大柄の花柄の壁紙は
大きめの市松模様になっていて
赤は赤なのだが
その赤に濃淡があって
和モダンなデザインになっている
下の畳も壁紙と同様に市松模様になる様に
黒と濃いめのグレーの畳に変えられている
これじゃあ まるで
この1室だけが
お洒落な連れ込み宿の様だ
「杏寿郎…あの、
この赤赤としてる部屋では
瞑想にはとても集中する事は
出来なさそうなのですが?」
「落ち着いて瞑想するのには、不向きだがな。
偶にこうして使うのには、これはこれで
趣があって悪く無いだろう?」
「その為にわざわざ…、この部屋の改装を?」
あの時に 杏寿郎と情交を交わした
大きな布団が1枚だけの
この小さな部屋で
今から彼に抱かれる…訳であって…