第65章 密室のヒメゴト ※R-15
そう一旦言葉を区切ると
そのままあげはが言葉を続ける
「例えば、その、男性の
そうなってる状態の局所…を見ようとも。
自分の感情を仕事中は、
揺さぶられる様な事はありません。
あ、いや、その、
それを見て思う事があったにしても。
顔にも声にも態度にも、決して
外には出さないと言う意味にありますよ?」
杏寿郎があげはの言葉を
腕組みをしながら聞いていて
うんうんと頷くと
後ろの座席の背もたれに身体を預けて
視線をこちらに向けて来る
「で、その時…何を思ってたんだ?
俺の身体を見たんだろう?あの時の君は
それを見て、どう思ってたんだ?
さぁ、あげは。正直に話して貰おうか?」
杏寿郎があげはの手を取ると
自分の胸板の上に手の平を当てさせると
あげはの手の上から
自分の手を重ねて押し付ける
「見ていたのは、ここの傷だけか?」
そのまま 胸板に当てさせた手を
スルスルと滑らせて
あの 猗窩座と言う名の鬼に貫かれた
傷のある場所まで
あげはの手を誘導させて行く
「そ、それは…ッ、見ていたのはここの傷は
注意深く観察…と言いますか。
見るに決まってはおりますが…ッ」
「ならもっと、下の方…は、見てないのか?」
「手術中は、
術野以外は布で覆い隠しますが…ッ
そのドレープの下は、全裸…ですので…、
その消毒をして、
穴の開いた布を掛けるまではその…」
「丸見え…だと、言いたいんだな?要するに」
杏寿郎の問いに対して
こくりとあげはが頷くと
「で、あげは。俺の所為ではあるんだが、
大いに話が逸れてしまっているが。
元々君が、俺に話したい事はこれではあるまい?」
と言う 杏寿郎の言葉にハッとしてしまた
そうだ そうだった
すっかり意識をこちらにとられてしまっていて
その当時の記憶が鮮明に蘇って居たのだが
私は お礼を言いたいんだった 彼に