第64章 結納編 午後
だって 私だって
どこか お母さんみたいに
思って 感じてる部分があったから
自分がそう感じてるだけじゃなくて
三好小母さんの方も そう感じてくれてたって
その事実の方が 何倍にも嬉しいと感じてしまう
今まで 私が
色んな人と交わして来た
大切な約束達の中に
今 こうして三好小母さんとの約束が加わって
ぎゅっと
あげはが自分の胸の前に右手を当てて
握りしめて拳を作ると
自分の胸の奥が温かい柔らかな光に
満たされているのを感じる
キラキラして 宝物みたい
沢山の約束 大事な人達と交わした約束
いつかじゃない近い未来に
絶対に叶えたい…とそう感じながら
三好からの抱擁にその身を預けていた
「さあ、そろそろ、アンタのいい人が
心配して覗きに来そうだからね、行ってやんな」
そう言ってギュッとその腕に力を込めると
あげはの体に回していた
三好の腕が解けて 離れて行く
「もう、そんな顔、してんじゃないよ。
アンタには、幸せな未来が待ってんだ。
ほら、行った行った」
そう言われて ここに来た時と同じようにして
三好にぐいぐいと背中を押されて
店の廊下を移動させられて行くと
そのまま 玄関の所で待っている
杏寿郎と
槇寿郎と千寿郎の姿があって
「すいませんっ、申し訳ありませんでした。
お待たせをしてしまっておりましたね。
支度に時間が掛かってしまいまして…」
3人を待たせていた事を
あげはが申し訳なさそうに謝罪する
「すまないねぇ、お三人さん。
ちょっと私が、あげはちゃん
借りちまってさ。またこの詫びは
今度の時にさせて貰うからね?
また、いつでもさ、うちに来てやってよ?
サービスさせて貰うよ?」
「そのサービスなら、三好さんには
既に今日、申し訳ない位に
して貰った記憶しか俺には無いのだが」