第64章 結納編 午後
「あっ、煉獄さん。あげはちゃんに
家の蜂蜜、預けていますから!
あげはちゃんに、蜂蜜が
たぁーくさん入った甘い蜂蜜酒、
いっぱい作って貰って下さい。
その、私も、…楽しみ…にしてるので」
では 私もこれでと
蜜璃も千城を後にして行って
ふたりだけ…になった
「蜂蜜酒…、望月も言って居たが
甘露寺もか。何かあるのか?蜂蜜の酒には」
「えっと…、それはですね、その…ッ」
ごにょごにょと蜜璃から聞いた
蜂蜜と蜜月と蜂蜜酒の話を耳打ちして来て
「なら、あの胡蝶に貰った
タツノオトシゴの酒に入れるか?蜂蜜」
そうだ しのぶちゃんに貰った
特製のタツノオトシゴのお酒も
結婚式が終わる頃には丁度
しっかりと漬け込まれて十分に酒に
タツノオトシゴの薬効が移ってるだろう
「あっ、あれに…ですか?杏寿郎。
でも、あれは前に飲んだ物と違って。
しのぶちゃんの…特別製…の物で…」
前にタツノオトシゴの酒の効果は
自分の身を持って実証済みなので
「なら、あの時のタツノオトシゴの酒よりも
強力な効果があると期待してもいいんだろう?」
そう杏寿郎もその時の事を思い出しているのか
杏寿郎のその言葉に
あの夜の情事を鮮明に思い出してしまっていて
「そっ、それは…えと、
杏寿郎の、ご想像に…、お任せ致します」
そう咄嗟に言葉を濁してはしまったが
タツノオトシゴのお酒に
更に蜂蜜を加えると思うと…
中世のヨーロッパに伝わる蜂蜜酒よりも
なんか色々と 各段に凄そうな気がする
「それにしても…だ。
胡蝶にだけでなく、甘露寺にも
期待されてしまっているのか…弱ったな」
そう杏寿郎が困ってるのか
困って居ないのか分からない様な口調で言った
「さて、そろそろ俺達も、
炎屋敷に戻るか…と言いたい所だが。その前に…」
その振袖を着替えて来るといいと言われて
元々着ていた方の着物に着替える為に
あげはは杏寿郎に また後程と言い残すと
杏寿郎と別れて
朝に着付けを皆にして貰った
控室へと戻って行った