第63章 結納編 昼
しのぶの言葉に
三好が口元に手を置いて考え込んでいて
何かを思い出そうとしている様子で
「きさつたい…、鬼殺隊…、か、
名前は私も、聞いた事ぐらいはあるよ。
何でも政府非公認の、
鬼を狩る組織…なんだろう?
成程ねぇ、おかしいとは
薄々思っちゃ居たんだよ。
若いお嬢ちゃんが、毎月の様に
来るような店じゃうちは無いからね。
実入りのいい仕事とは聞いてたが。
鬼狩りさんだったなんてねぇ」
「三好さんは、鬼殺隊を存じているのか?」
槇寿郎が腕組みをしたままで
そう三好に尋ねた
鬼殺隊はそうそう表に知られている訳ではない
知っている者が居るなら
鬼に実際に襲われた事のある人間か
その人間に話を聞いた人間ぐらいだ
「私の主人はね、鬼とやらに殺されたのさ。
まだ、その時ならギリギリ子供も
産めなくもない歳だったからさ。
再婚でもって、周囲には言われたけどね。
でも、小さく小さくなって戻って来た
主人を見てもね、実感が湧かなくてさ。
どっかで何もかも忘れて生きてて
生活してて、ある日ぽろっと思い出して
帰って来てくれないかなんてね、そんな事をさ。
バカみたいな…話だろう?ああ、
らしくも無いねぇ、湿っぽい話なんて
私には似合わないだろう?」
「三好さん。俺達は
貴方の様な人を作らない様に。
日々、鬼達と戦っている。
貴方の主人を救えなかった事は、
非常に残念だったと思って居る。
俺達、鬼殺隊が
必ず鬼の無い世界を作ると誓おう!」
「三好小母さん。私達の仲間の殆どは
自分の家族を鬼に
殺されて奪われた者が殆どだから。
自分がした思いを、他の誰かにさせない為に
戦っている。鬼も元は人だから。
悲しみから悲しみを憎しみから憎しみしか、
生み出さない様な。
そんな、悲しみの連鎖を
断ち切りたいと思ってる」
三好の言葉に杏寿郎が続けて
その言葉にあげはが言葉を続けた