第63章 結納編 昼
「かか、かわっ、可愛いっ??
しッ、師範…そんな、わた、私は…ッ」
そうしのぶが言って笑うと
今度はカナヲがしのぶの言葉に
言葉をどもらせて
みるみる内にその顔を
真っ赤にして俯いてしまった
「ちょっと、しのぶちゃん。
カナヲをからかって遊ばないでよ」
ニヤッとしのぶが不敵な笑みを浮かべて
今度はあげはの方を見て来ると
嫌な予感がするのは気のせいじゃないはず
「あら?それは言いがかりですよ。
私はカナヲをからかったりしてません。
本当の事を言っただけですよ~。
そう仰る、あげはさんも、随分と
煉獄さんのお陰で、
お可愛いらしくなったんじゃありませんか?
あー、お胸の辺りは、以前よりも
ご立派になられたかも知れませんが~」
そうちょっとあっちの方にも
含ませる様に言って来るから
かぁあっとあげはが顔を赤く染めて
「やっ、しのぶちゃん。止めてって。
そんな事…っ、ここで、言わないでってばっ」
「そうだぞ、胡蝶。あげはに可愛いと
言っていいのは、夫である俺の特権だからな。
例え、妹の君にもその役は譲りかねる」
「はいはい、ちょっとした冗談ですよ~。
さ、カナヲ、私達もカレー頂きましょうか?」
「は、はい、頂きますッ」
スプーンにすくったカレーを
カナヲが一口 口に運ぶと
自分の口元を押さえて
驚いた様な顔をしていて
「美味しい…」
そう素直な感想を漏らすから
「ははははっ、そりゃ結構じゃないのさ。
なーに、うちはすき焼きと
牛鍋ばっかじゃないのさ。
驚いちまったかい?蝶々のお嬢ちゃん。
だったら、流石に肉はうちと同じは
無理だろうけどもさ、普通の家でも
作れる様にレシピを料理人に書かせるから
うちの秘伝のカレー、作ってやってよ」
「あの、三好さん。そちらも
お商売ですので、企業秘密を
私どもに教えて頂く訳には参りません」
三好からアオイに対しての申し出に
しのぶが戸惑った様子で断りを入れると
「何、家庭でも出来る様にアレンジしてる
レシピだから、同じにゃあならないよ。
それに、蝶々のお嬢ちゃん達の
家で食べるだけなんだろ?」