第63章 結納編 昼
大きく目を見開いたかと思うと
あっという間に
伊之助がカレーの皿を空にしたのを
アオイがじっと隣から見ていて
「うめぇ、これっ!
うんめぇな、かれぇーつーのっ」
ふっとその伊之助を見て
三好も安心した様な笑みを浮かべていて
「カレーもメニューに
入れれるか検討してみます」
そうぼそっと独り言の様にアオイが言ったのに
伊之助が反応して顔を上げると
「アオコ!お前、これ作んのかっ?
すっげぇな、お前ッ」
尊敬のまなざしにも似た
期待の目を伊之助に向けられて
「全くこれと同じ物は作れませんが。
カレーと呼ばれる物なら、
私にも作れなくも…ないですので。
来ない方がいいですが、
その、また来られた時にでも」
そう伊之助の身を案じながらも
アオイが伊之助に返事を返した
「ああ、アオイ、その事なのですが。
今日から炭治郎君達はしばらくうちで、
蝶屋敷で預かる事になってますから。
そう言う事ですので、
良かったですね、伊之助君。
うちのアオイが、
カレーを作ってくれるそうですよ」
あげはの隣に座っていたしのぶが
ニコニコとしながらそう言って
「しのぶ!それ本当か?
アオコの作った、かれぇー食えるのか?」
「ええ、勿論です。ねぇ、アオイ」
「は、はい。しのぶ様がそう仰るのなら…」
アオイの言葉に伊之助の顔が
ぱあああっと明るくなって
「よっしゃぁーーー!!」
伊之助が全身で喜びを表しているから
「カレー位で大層ですよ、伊之助さんは」
そう困った様にしながらも
満更でもない様子でアオイが答えていて
「アオイの作る物、美味しいから。
きっと、カレーも美味しい」
そうカナヲがぼそっと漏らすと
はにかんだような笑みを浮かべる
「かっ、カナヲ…??
不意打ちは卑怯…ですッ」
そう言って アオイが
カナヲのその顔を見て
顔を赤くして俯いてしまった
「ふふふっ、何だかんだ言っても、
アオイもカナヲには、甘いですもんね。
あげはさんも、私も、
アオイも、カナヲには敵いません。
だって、当然です。カナヲは可愛いですから」
ね?としのぶが
そう言って笑顔をカナヲに向けて来て