第63章 結納編　昼

そう余り量を食べるイメージのない義勇も
牛肉の握りが気に入ったらしく
お代わりを要求していて

ちらっと義勇がカナヲの方を見ると

「…あ、の…ッ」

自分の隣でもじもじとして
落ち付かない様子を
カナヲがしているが見えて

「後、同じ物をこちらにも、頼みたい」

「は、え？あ…私…ッ」

「そうだよ？遠慮しなくていいよ？
今日の払いは全部、あの兄さんの驕りさ。
若い子は。我慢しないでたーんとお食べよ」

「あ、はい…、お願い…します」


今度はじっと義勇が
しのぶの顔を見ていたので

「いいえ。私はそんなに
沢山頂けませんので。この後に、
すき焼きを頂きたいので…大丈夫です。
冨岡さんの癖に、
人にまで気を回さないで下さい。
そんなの、冨岡さんらしくありません…が、
とりあえず、お礼は言います。
ありがとうございました」

冨岡に礼を伝えている
しのぶの姿を見てカナヲがハッとすると
ギュッと自分の前で両手を握って

「冨岡さん、あり…がとうご…ざいました」

「いや、気にするなついでだ」


ツンツンと須磨が宇髄を突いて来て


「あのぅ～天元様。冨岡さん、
いい感じになりましたね」

「また、うちに冨岡様を
お夕飯にお誘いして下さい、天元様」

そう須磨が言った後に
雛鶴がそれに続いて言うと

「ちょっーとばっかし、前より。
幾分いい男になった感じもしなくもないよ。
まぁ、天元様の足元にも及ばないけど」

まきをがそうちょっと嫌味ぽくも
義勇の事を褒めていたので

「あれ位で、冨岡からしたら十分なのよ？
好き勝手言いやがって、お前等なぁ…。
いつも男前の天元様見てるから、
目肥え過ぎちまうのは仕方ねぇわ」


そうは言っても満更でもない顔を
宇髄もしていて

牛肉の握りはわんこそばだったかと言う様な
そんな勢いで　届いた牛肉の握りが

ドンドンと２人に吸い込まれて行く


「追加があったら、ドンドン言ってくんな。
はいよ、次は、茶わん蒸しね。その次は
石焼の、牛肉だよ」