第63章 結納編 昼
そう宇髄の嫁達が
遠慮をしたくなるのはそのはずで
本来 招かれていたのではない
自分達にも 他の客と同じ
料理が用意されていた事を
宇髄の嫁達は申し訳ないと感じている様だった
「(あの~、あげはさん、
ちょっとよろしいでしょうか?
あのー、こちらの方を、煉獄さんに
貴方の方からお渡しして頂けませんか?)」
隣に座っていたしのぶが
こしょこしょと耳打ちをして来て
ああ成程と納得が行ったのだが
結納返しの中には
家内喜多留(酒料と肴料、食事料)
御袴料(結納金)
の現金が結納返しの品に含まれているのだ
飾りつけをする時にしのぶが
首を傾げていたので
あげはも不思議に思ったのだが
もうその中には予め現金が入れられていて
要するに受け取った方の結納品と
こっちが用意するべきはずの
返しの現金も予め用意されていた事になる
「(で、しのぶちゃん、幾らだったの?)」
そう杏寿郎が挨拶をするのを聞き流しつつ
しのぶにその内容を尋ねる
全く杏寿郎は何も言ってくれないし
「(いえ、あの場では数えられませんので、
厚みでですが30万程かと)」
「(ちょっと待って、しのぶちゃん
30万って、それはおかしいんじゃない?
結納金の返しは半返しとしても…30万な訳)」
「(だから、半返しではありません。
煉獄さんですよ?ですから、こちらは
お受け取りできませんとお返ししたいのです。
私の方で受け取っても、こちらから
今更これであげはさんに
支度を整えさせる必要もないでしょうし?)」
本来は結納金は女性の家族が
嫁入りの際に女性に持たせる
家具や布団を準備する為のお金だ
着物も既に買って貰って居るし
布団も新調されて居たし
家具は持って行ったあのカナエちゃんの家具と
杏寿郎が用意してくれていた家具があるから
私は彼の元に嫁ぐのに
何かを用意する必要は無いのだ