第2章 私は彼を知らない
「そう言えば、どうして誘ってくれたの?」
「あん?別にメシ誘うのに、
いちいち理由なんかねぇよ
たまたま顔見たかんな。
調子どうなんだよ?お前は」
「私は、変わりないよ。
誰かさんと違って、
お仕事しても無傷だもの」
と不死川に対して
若干の嫌味を込めて返した
まぁ 実際怪我をするとしのぶちゃんに
こんこんとお説教されてしまうので
無傷で帰るしかないのだが
「悪かったなぁ!傷だらけでよォ。
まぁ、アイツ煩そうだもんな、
怪我すっと」
「あ、そう言えば。今年の新入隊士に…」
「俺に弟はいねぇ!!」
聞かれたくない話題らしく
こっちが聞く前に否定されてしまった
「不死川は彼女とは、親しいのか?」
「…ん。まぁなァ。一年程、…柱、
一緒にしてたってぇのもあっし。
ちょいちょい、世話になってっからなァ」
不死川と話をする彼女の
口調は随分砕けているようにあるし
あの不死川相手に
あけすけに嫌味を言うのも珍しいし
当の不死川の方も
それをあまり気にもしてないようだし
口調こそはいつも通りであるが
言葉に刺々しさがないようにある
「お前、仕事済んでんなら、どうだ?一杯」
突然にお酒を勧められて驚いた
「え?でも、今は昼間だよ?」
「んなら、夜なら、いーのかよ?」
「そりゃー、飲むなら夜の方がいいに…」
「どーせ、誘っても来ねぇんだろ?」
不死川の言葉に
あげはが思わず胸を押さえた
今まで何度か不死川の誘いを
何かにつけて断っているので
後ろめたい気持ちがあったから
「別に、変な意味じゃねぇし。
話にくい事も、…あんだろ?」
不死川君に対して
警戒をしていると感じられているよね?
「それは…、
まぁ、そんなんだけども…さぁ」
と何とも曖昧な返事をしてしまった
どうやら 話の内容から察するに
不死川は彼女をサシで
飲みに誘ってはいるが
彼女に断り続けられているようだった
俺の前で誘うぐらいだから
他意はないのかもしれないが
まぁ 男と2人で飲みに行くのは
遠慮したいと言う
彼女の気持ちもわからないでもない
それなりに親しい間柄なのだから
行きたい不死川の気持ちも
分からないこともないのだが…
問題は…不死川にそのつもりがあってか
なくてか…と言う所だな