第8章 療養編 蝶屋敷にて
あの汽車の中で見た いつぞやの夢
柱になった事を父上に報告した時の
父の事を思い返していた
しかし 丁度良かった 千寿郎に父上への
手紙を言伝ようと思っていたから
「どれぐらいの話になるかわからんが、
手短に…」
杏寿郎は3人娘の1人に声をかけて
筆記用具と紙を用意してもらうと筆を取り
父への手紙をしたため始めた
俺が父上への手紙を書き終えて
しばらくすると話を終えた千寿郎が戻って来る
その表情は明るい
一体 どんな話をして来たのだろうか?
「兄上!戻りました」
「ああ、千寿郎。もう、話は済んだのか?
あげはは?」
戻って来たのは千寿郎のみで
あげはの姿はない
「あげは様は、胡蝶様とお話をされるそうです」
「もう、戻るのか?」
「はい、あまりゆっくりしていると、
日が落ちてしまいますので…」
「なら、これを…父上に渡してもらえるか?」
杏寿郎が差し出した手紙を千寿郎が受け取る
「はい、お渡ししておきます」
「うむ。頼んだぞ!」
弟が千寿郎が病室を後にしてから
しばらくしてあげはが病室へ戻って来た
随分と話込んでいたのか
それなりの時間が経っていた
「戻ったのか。
…随分と話し込んでいたようだが?」
「うん。ちょっとねぇー、しのぶちゃんと、
今後の事とか色々と含めての、
作戦会議をね〜。しのぶちゃんが、
杏寿郎さんとも話したいって
言ってたから…今、他の人診てるから
しばらくしたら、来て欲しいって」
しばらく…と言われたので20分ほど
時間を置いてから胡蝶の元を訪ねた
しのぶの使ってる診察室をノックすると
どーぞーと中から胡蝶の声が返って来た
「あそこでは、出来ない話なのか?」
「相変わらず、結論を急ぐ人ですねぇ〜、
まぁ、あげはさんも事情をご存知ですし…
あそこでも良かったのですが…、
私があまり煉獄さんに色々と言いすぎると、
あげはさんに悪いですし…?」
胡蝶は口ではそうは言っているが
果たして 悪いと思っているのだろうか?
その割には 口付けの事で
あげはの前で色々と言っていた気がするが…?
「では、煉獄さんのお望み通り、
単的にお話ししますね。先程
弟さんから伺ったお話を纏めて、
私から言える事は、
お父様のご病気は治せます」