第63章 結納編 昼
「でしたら、
煉獄さんはあげはさんと、
お二人で中庭をお散歩でも、
なさっては如何ですか?
私達は、控室に下がって
ゆっくりしていますので、ご遠慮なく」
「そりゃ派手にいいな。胡蝶。
俺も、それを派手に押すぜ?煉獄。
お前だって、あげはの振袖姿なんざ
滅多に拝めねぇ代物だ。
ゆっくり拝んで来いよ。
後は若い者同士で…、中庭の散歩でも~って
結納なのに、見合いみてぇじゃねぇかよ。
じゃあな、煉獄。後でな」
そう言ってしのぶと宇髄が
控室の方へと向かって行ってしまって
「んで、胡蝶。煉獄に気、遣ったって訳?」
廊下を歩きながら宇髄がしのぶに
そう声を掛けると
にんまりとしのぶが笑顔を
宇髄に向けて見せて来て
「だって、煉獄さんは
あげはさんの振袖姿を見たのは
初めてでしょうし?結納が始まるまでは
別室でしたでしょう?
あの場では流石に大声で褒めるのは、
幾らあの煉獄さんと言えど、
遠慮されていたでしょうから」
しのぶの話を邪魔してはいけないと
その2人の会話の邪魔にならない様に
その様子が見える中庭に面した
縁側に座ってカナヲが蝶寄せをしていると
炭治郎がこちらの方へ来て
「カナヲ、ここに居たのか。探してたんだ」
「炭治郎…!炭治郎も、来てたんだ」
「ああ。煉獄さんの鴉が
来れそうだったら来て欲しいって
手紙を運んで来てくれたんだ。
でもカナヲが居るとは俺も思ってなくて、
カナヲ。その…今日の着物、
カナヲに良く似合ってる」
「そうかな?あっ、ありがとう。炭治郎。
この着物は…あげは姉さんが私に
買ってくれた着物。
似合ってるんだったら、嬉しい」
そう言って自分の胸の前で
両手をカナヲが重ねると
自分の胸に押し付けて穏やかな笑顔を浮かべる
その炭治郎とカナヲの様子を
柱の陰から3人娘が覗き見ていて
「おおっ、これはっ。
炭治郎さんとカナヲさん、いい感じなのです」
「なのです、なのです。
炭治郎さん、頑張れ頑張れなのです」