第63章 結納編 昼
この場で結納を
今日執り行った事に対してのお礼を
彼女の口から聞く事になるとは
杏寿郎自身も全く予想だにしていないかったので
素直なあげはからの感謝の言葉に
一瞬杏寿郎がどう返事する物かと
固まってしまっていて
ニコニコと穏やかな笑みを向けてくる
あげはの顔を見つめたままで
少しばかり頬を染める杏寿郎を見て
「きゃああぁん♪
ヤダっ、素敵だわ。素敵過ぎるわ。
何て、素敵な結納なのかしら?
煉獄さんもあげはちゃんも、
可愛らしいわ。お似合いだわ」
そう言って蜜璃が嬉しそうに歓喜の声を上げると
「ギィヤアアァァア゛ッ!!
見た?炭治郎、見た?
見たよね?見たでしょ?
あげはさん、素敵過ぎじゃない?
あげはさんの、振袖姿!
何?素敵過ぎない?お姫様みたいじゃない?
ってか、炭治郎、
あっちばっかり見てたかそうか。
お前はそうだわな。あげはさんじゃなくって、
そっちばっかり見てるか、仕方ないわな」
耳が痛くなる程の声を善逸が上げて
伊之助が興味無さそうに腕組みをしていて
喚き散らす善逸に冷ややかな視線を送ると
「うっせぇ!黙れ。紋逸。
あげるが何着ててもあげるだろーがよ?
お前の目ん玉腐ってんのか?
ん、いやお前、あげるか?
いつもと、顔違くねぇーか?」
自分で施した化粧じゃないから
伊之助はいつもと私の顔が
違うと感じてるんだろうけど
「はいはい、皆で盛り上がってるトコに
邪魔しちまって悪いんだけども。
もう昼がそこまで迫っちまってるんだ。
会食が出来る様に、
この部屋をセッティングするからね。
たんと自慢の料理、用意してるからね。
こっちがと整うまでの間、
中庭を散歩するなり、控室で待っててくんな」
この部屋をこの後の会食仕様にするので
一度退室する様にと三好から促されて
この遠慮しない感じの物言いでありながらも
三好と言う人の持つ雰囲気の所為で
全くの嫌味がなく聞こえるから不思議だ