第63章 結納編 昼
「はははははッ、気合は十分の様だな?甘露寺」
杏寿郎の隣で槇寿郎はその
力強いまでの頼もしい蜜璃の宣言を聞いて
結納とはこんな感じだっただろうか?と
自分の記憶にある”結納”と
呼ばれる物の方を疑い始めてしまっていて
ふふっとしのぶが口元を手で押さえながら笑うと
「ふふふっ、でも、こんな素敵な結納。
…きっと、日本中探しても他所にはありません」
カナヲは言葉にはしないが
ニコニコと穏やかな笑顔を浮かべていて
この場の雰囲気を感じ取っているのだろう
「そ、それでは、つ、続きましてっ、
結納品と受書の取り交わしを…お願いいたします」
「こちらが私どもからの結納の品だ。
幾久しくお納め頂きたい!」
そう杏寿郎が言って煉獄家側からの結納品の乗った
白木の台をこちら側に向けて差し出して来て
それをあげはが受け取ると
煉獄家からの結納品を受け取った言う証になる
受書をしのぶが差し出しながら
「それでは、こちらが
あげはからの受書になります。
どうぞ、幾久しくお納めになってください」
結納の定型の口上をしのぶが述べて
槇寿郎がその受書を受け取って納める
「確かに、納めさせて貰おう」
蜜璃がそれが滞りなく
受け渡しが済んだのを確認すると
「そっ、それでは続きまして、
結納返しと受書の取り交わし…の方を…ッ。
お願い致します」
そう今度はこちら側からの結納品を
煉獄家に対して納める様にと促して来て
それではとしのぶが床の間の前に
結納品を取りに立ち上がった時に
ガラガラっと勢い良く襖が開いて
「すまない、遅れた…」
その襖の開く勢いとは裏腹の小さな声で
義勇が謝罪の言葉を述べながら
室内に入って来て
「義勇!来てくれたのね?良かった…」
「冨岡、大丈夫か?とりあえず水でも貰おう。
それで一息着くといい。すいません、彼に水を」