第63章 結納編 昼
もしかするとカナヲは
今日の結納に同席するのに
結納についての作法や手順を
勉強して来てくれたのかと思うと
自分が受ける立場であるのに知らな過ぎて
恥ずかしくなって来てしまいながらに
君はその振袖を着て
座って居てくれるだけでいい…と言う
杏寿郎の言葉を私は素直に
真に受けすぎてたのかも知れない
いや 杏寿郎の事だから
それだけでいいつもりで
2人を今日 呼んだのかも…知れないと
そうとも考えてしまいつつも
カナヲに蝶屋敷の事を頼んで正解だったとも
カナヲの頼もしいまでのその姿に
じぃーんと胸を打つ物に浸っていると
トントンとしのぶが肩を叩いて来て
「あげはさん、
煉獄さん達のお家が先に着席されますから。
私達は一旦部屋を出ましょう」
「うん、分かった。しのぶちゃん」
そうだ 杏寿郎
杏寿郎とは千城に着いて
三好に引き剥がされて別れてから
顔を合わせて居ないから
私が振袖なのだから
自分は紋付き袴だと言って居たし
杏寿郎の五つ紋の紋付き袴姿…か
杏寿郎は日本人離れした外国人みたいな
そんな髪の色をしているが
あの燃えるような赤の入った髪色には
黒の袴姿は大層に映えるに違いない
彼の鍛え上げらえれた体躯にも
相当に似合うのではないだろうか?
そんな事をあげはは考えながら
別室で待機をしていると
仲居が煉獄家の一同が
着席出来たので
こちらも着席をと声を掛けに来て
先程 結納品を飾り付けた
奥の院の和室に向かった
「あげは姉さん、大丈夫。
私もしのぶ姉さんも一緒だから」
そうカナヲが後ろから声を掛けて来て
きゅっと手を一瞬だけ握ってすぐに離した
思わず振り返ると
後ろにいたカナヲが
こちらに笑顔を向けてくれていて
うんと声に出さずにあげはが頷いて返す
ご本人様が上座にと小さく声を掛けられて
あげは後にしのぶが並んで
その後にカナヲが並んだ