第62章 結納編 朝
「えっと、じゃあ、この蜂蜜を
蜂蜜酒にしてねって意味…だよね?」
そう確認を取る様にして
蜜璃に対してあげはが言うと
「そうよ。うちの蜂蜜を
たぁーくさん使った蜂蜜酒で、
煉獄さんとあげはちゃんの所に
元気いっぱいの可愛いーい赤ちゃんが
早く来てくれたらいいなぁって。
そう思ったのよ?
だから、沢山持って来ちゃった♪」
結婚して まるまる1ヶ月の間
家から外出もしないで
蜂蜜酒を飲んで 子作りに明け暮れるのかと
一瞬で想像してしまっていて
きょとんとした顔をして
蜜璃があげはの顔を覗き込んで来る
「どうしたの?あげはちゃん。顔色が悪いわ」
「いや、その赤ちゃんが出来る前に
自分が、どうにかなって
しまいそうだな…って。あははは…、
えっと、思ったんだけど。
あの、蜜璃ちゃんはどうしてここに居るの?」
蜜璃は桃色の可愛らしい色留袖の出で立ちで
蜜璃のその髪の色の鮮やかさにも劣らない
大柄の御所車に大柄の絵巻物を合わせた柄で
淡い色留袖らしい色合いであるが
蜜璃らしい色留袖姿だった
けど ここに今のタイミングで
色留袖を着てるなんて
「あげはちゃんがここに居るって、
聞いたからって、あああっ!!大変ッ!!
やだっ、私ったら。
浮かれちゃってて、忘れちゃってたわ。
煉獄さんから、今日のね
結納の進行役をって言われたの。
私があの時に、あげはちゃんに
琥珀糖を贈るのを提案してくれたからって。
仲人役を引き受けて欲しいって頼まれちゃったの」
それからこれと言いながら
積み上がりそうな程のたとう紙に包まれた
着物をあげはの方に手渡して来て
「これね、うちにあった小紋のお着物ね。
話はしてたから、みんな
お母さんが干してくれてるから。
そのままで大丈夫よ?
染みとかちゃんと無いかも
確認して貰ったしね?あげはちゃんが
着てくれるならお着物も喜ぶと思うわ。
きっと、タンスにしまわれたままよりも
着てもらえる方がお着物だって幸せよ」