第62章 結納編 朝
「あげはさんも、
それに気がついて居るとは思います。
しかし、それの本質が血鬼術である以上は。
あげはさんの呼吸で返せるはずです。
あげはさんも音として、それを意識していたので。
そうではなく、血鬼術として捉える様にと
お伝えしたのですが…透真さんの血鬼術が
音と言う本質を持っているのであるなら…」
ふぅっと宇髄が小さくため息を付いて
肩を叩いていた扇子を懐にしまう
「胡蝶、話は分かった。俺に任せとけ。
んで、それはアイツに、
あげはには話したのか?」
「いえ、まだ。私がこの結論に至ったのが
少し前でしたので。ある筋には、
それに対応できる手段を依頼はしましたが。
あげはさんは、ご自身でも
お気付きになって居るかと。
あげはさんは、看護婦ですから
その知識はお持ちですし」
「まぁ、俺が適任…だわな。その役目は」
俺の全身の筋力とそれからこの聴力
その血鬼術を”聴いて”俺に
解析しろと言ってる訳ね 胡蝶は
「私が思うに、我妻君ではなくて
その役目は宇髄さんにしか
出来ないと思いますので。
我妻君には、私から話をします。彼にも
同じ事をあげはさんに
守られながらして貰いましょう。
カナヲ、まだ来られてない方がいますね。
お迎えに行って貰えますか?きっと
ここが見つけにくくて迷っておらるのかと」
そうしのぶがカナヲに声を掛けて
会話の邪魔にならない様にカナヲが頷くと
「はい、畏まりました」
それだけ答えて頭を下げて
中庭を後にした
「宇髄さん、私…こんな日が
来るとは思っておりませんでした」
自分のサイドの髪をしのぶが耳に掛けると
「それは、アイツが…、あげはが
煉獄と結婚するって決めた事?」
「あげはさんと透真さん…、
私にとっては
お二人は姉と兄の様な存在でした。
私も、違和感に気付いて居ながらに…
彼がカナエ姉さんにしていた事も、
何一つとして、知りませんでした。
あっちの透真さんを取り戻せるのなら、
それがあげはさんにとって
一番の幸せなのだと。
そう、ずっと思って居たので……ッ」