第62章 結納編 朝
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「にしても、凄い髪だねぇ」
5つ紋の袴に着替えさせたまではいいが
まきをが杏寿郎の自由奔放な
髪の毛をその手で撫でつけながら言った
「むっ、そうか?
俺は生まれつきこの頭なんだが」
「いや、それは、あっち見りゃ分かるけど。
炎柱サンは、長さも量もあるからね。
折角の結納なんだ、
その頭、スッキリ纏めとくかい?」
「あら、だったら私がしましょうか?」
そう言ってまきをに雛鶴が声を掛けて来て
宇髄がキョロキョロと控室を見渡して
「なぁ、煉獄、冨岡は?
今日アイツも来るって話じゃなかったか?」
「冨岡さんっ、
冨岡さんも来るんですか?天元様」
宇髄の口から冨岡の名前が出て
それに須磨が反応する
「そうだな、もう来ていてもいい時間だな」
「ああ、ちょっと俺の鴉呼んで、
その辺に冨岡の鴉が居ねぇか確認してみるわ」
そう言ってひらひらと宇髄が
杏寿郎の返事を待たずに
控室を後にして廊下を進むと中庭に出た
虹丸を呼んで
近くに冨岡が居ないかを見て来る様に依頼すると
「悪ィな、虹丸。…冨岡見つけたら
ここ、案内してやってくんね?」
『カァー― 了解、了解、派手二行ッテ来ル~』
虹丸との付き合いも長いが
俺の口調に影響されてるよなアイツ…
まぁこの宇髄天元様の鎹鴉って感じしていいけど
「んじゃ、頼むわ。頼りにしてぜ、相棒サン」
『派手ニィ、任セトケェ』
飛び立っていく虹丸の姿を宇髄は見送って
改めて整えられた千城の中庭に
目を向けると 小さいながらに四季折々の
自然の美しさが楽しめる日本庭園の様だ
奥の院の方へは小さいながらに
間隔を均等に整えて
手入れされている竹林があり
その竹林の前にはクロモジで垣根が作られている
ここだけ見てると京都にでも来たみたいだな
いや 奥の院と言う離れの建物も
銀閣寺を小さくしたみたいな
そんな印象を受ける