第62章 結納編 朝
自分の今の状況は何かの拷問か
懲罰な様な気がしてならないのだが
ある程度の時間を置くと
今度は拭き取りをして行くので
パックと蒸しタオルの間の油紙を取り除くと
新しい熱い蒸しタオルを乗せて
肌に残って居るシナモンとウコンのパックを
蒸しタオルの水分とパックを
馴染ませて落として行く
肌がもっちりとして潤いながら
張りと弾力を持つのが分かるので
「しのぶ様の特製の桂皮と蜂蜜とウコンと
グリセリンと精製水の
お化粧水で仕上げていきますので」
そうアオイがパックを終えた肌に
しのぶの特製の美肌効果が期待できる
化粧水を丁寧にパッティングされて
肌に乗せられて行くと
アオイの手の温度で包む様にして
顔のリンパの流れに沿って
指でマッサージを加えながら馴染ませて行く
「お顔、染みたりなさいませんか?あげは様」
「手のパックも落として行きますね?」
「こっちは、私がしますので」
そう言って左右の手のパックも
3人娘達に落とされてそちらには
精製水の代りにグリセリンと
純度のいい精製された馬油を
混ぜてあると言う物で
その馬油のべたつきが肌に馴染んで
サラサラになるまで手とデコルテには
そっちのやつを塗られて
4人に馴染まされてしまって
「皆、蝶屋敷の仕事がなくなっても
美顔術師に転職できそう…じゃない?」
正直 皆の顔が見れて良かった
ここに来た時はいよいよなんだと
緊張していたのに…だ
よくよく知っている見知った顔を見て
気持ちが緩んだのは確かだ
「私達に出来るのは、これぐらいですから」
「そうなのです、
あげはさんの晴れ舞台ですので」
杏寿郎が家を出ようと言った時間は
随分と余裕のある時間だったから
そんなに早くに着いてどうするのだろうかと
そんな風に思って居たのだけども
あれやこれやと私にこれを知られない様にして
しのぶちゃん達とやり取りをして居たのだろう
通りでしのぶちゃんの鴉…である
艶の姿をお屋敷で良く見るなと思ってたんだ