第62章 結納編 朝
「桂皮(シナモン)と鬱金(ウコン)?」
あげはがそのパックから香り立つ
シナモンとウコンに香りにそう言うと
「はい、そうです。シナモンとウコンに
蜂蜜と、米ぬか、ヨーグルトを加えてあります」
髪がパックに付かない様に
キチンと纏め上げられると
そのしのぶちゃんの特製のパックには
それ以外にも何か含まれてそうな
そんな気がしなくもないけど
顔と首からデコルテ
振袖を着て外に出るだろう
指先から手の甲から腕に掛けてに
丁寧にハケでパックを塗られて
油紙で乾燥しない様にカバーされると
上から温かい蒸しタオルを乗せられる
「臭いっ、臭いからっ油紙っ臭い。
ウコンもカレーみたいな
匂いするけど、油紙が臭いっ」
油紙と言うのは医療用の桐油を引いた
薄い茶色い紙の事で
主に油紙の使用用途は
蜂窩織炎(ほうかしきえん)
の際や点滴の漏れがあった時に
アクリノールをしみ込ませたガーゼを
患部に当ててその黄色いアクリノールが
包帯に染み出さない様にする為の物だ
と言うよりもあまりそれ以外に
使用の用途の無い存在なのだが
いかせんせん その油の香が
独特の香りがして臭いのだ
「じゃあ、お鼻の頭に
シナモン乗せときますか?」
そう言って 油紙と蒸しタオルの間に
残って居たシナモンを
挟み込んで来てくれるから
油紙の香りと強烈なシナモンの香りが混じった
そのいい香りとどうにも言えない香りが
中和されている様でされ切れてない様な
何とも言えない香りが鼻腔を満たして行く
「どうですか?マシになりましたか?」
「う、うぅん…?
な、何とも言えない香り?
マシになったのはなったけど、
奥から隠れ切らない油紙の香りする。
どうせ、使う機会もないですし。
油紙でも使えばいいじゃないです?
とか言ったのしのぶちゃんでしょ?」