第62章 結納編 朝
杏寿郎には槇寿郎様がいらっしゃるのだから
結納の進行は 槇寿郎様にお任せして
無理に仲人を
略式結納に立てる必要も無い様にあるが
そんな事をあげはは考えながら
杏寿郎の方を見るとにっこりと
杏寿郎がこちらに笑顔を向けていたので
杏寿郎が仲人を立てた意味は何となくにだけど
分かった様な それでいて分からない様な
曖昧なままにいて
本来なら 本人と両親の形が一般的だが
杏寿郎にはお母さまがおられないし
私にはそもそもに
両親という存在が居ないのだから
家族としてしのぶちゃんにと
なるのは自然な流れだとは…思う
杏寿郎が千寿郎君に家族として
自分の結納に出て欲しいと考えるのは当然だし
なら 兄弟・姉妹として
私の妹にあたるカナヲにと考えるのも妥当だけど
でも そうなると
義勇を弟として呼んでくれているから
人数が…合わない気がするんだけど…
でも 人数は大丈夫だと言っていたから
自分の煉獄家側の親族として
誰か…を 呼んでいるのだろうけども
あれ?でも仲人も立てるって言ってたけど
それで仲人まで立てたら
あっちの仲人と
こっちの仲人が必要なんじゃ…ないの?
「あの…、姉上、大丈夫ですか?」
色々と考え事をしていたら
顔に出てしまって居たようで
向かい側に座っていた千寿郎に
心配そうに声を掛けられてしまっていた
「ううん。大丈夫だよ?ごめんね、千寿郎君」
ーーー
ーー
ー
その頃 三好は
今日の結納の会場である
店にある離れ 奥の院の掃除をしていた
仲居は他にも居るが
どうしても今日のここの掃除は
自分の手でしたいのだと申し出て
それを店側に受け入れてもらった
昔からの馴染みの客の娘さんだった
あげはちゃんの事は
幼いあどけない頃から知っている
年に数回 顔を見るだけの間柄だったが
その年齢の子供よりも
痩せて小さかったあの子が
それでも 姿を見る度に
成長してる あげは姿を見るのを
親戚の子供でも見てるかの様な
そんな気分で眺めていた