第62章 結納編 朝
フゥーっと槇寿郎が
杏寿郎の言葉にため息を付くと
「なら、倒せ。杏寿郎。
アイツを、あのバケモンをな。
お前にそれが出来たら、
運命だとでも何とでも言えばいい」
下らんとでも言いたげに
そう槇寿郎が腕組みをしながら言い放った
「俺は、負けるつもりはないのですが?
彼に勝って、彼を越えなければ。
俺は、彼女の隣に相応しい男にはなれますまい。
俺はそうなれて初めて、彼女に
あの櫛を送るに相応しい男になれましょうから」
杏寿郎の口から出た櫛と言う言葉に
ぴくッと槇寿郎とあげはが反応を示した
フッと槇寿郎が口の端を曲げると
「随分と…、
いい漢になったな…。お前も。
まぁ、それも
その隣の誰かの所為か?杏寿郎」
「所為でもあり、為でもある。
彼女の為…でもあれば。
俺の為でもありましょう」
じっと槇寿郎の視線が
自分の方に注がれているのが分かる
「お前は…アイツと戦えるのか?
きっとお前にとって、どの鬼と戦うよりも
辛い過酷な戦いになる。アイツは強い。
元からバケモノ並みだ。鬼としての力が
それに、加わるんだ。上弦…2人分と
考えても悪くはないだろう」
透真さんの
最強の水柱と言われていた彼は
元から人の時から
柱2人分とその実力を称されて来たんだ
その彼が鬼となれば…その実力を
上弦の鬼二人分と予測する
槇寿郎の考えも強ち間違いでもないだろう
「父上、この戦いに…三上透真との決着を
自身の手でと臨む者は、
俺とあげはだけではありません。
彼の継子であった、今の水柱冨岡義勇。
そして、花柱の胡蝶カナエの妹である。
蟲柱の胡蝶しのぶ。それから三上透真の
親友であった、音柱の宇髄天元に。
煉獄家で継子として修業をしていた、
恋柱の甘露寺蜜璃。風柱の不死川実弥も…
この決着に共に臨んでくれる決意にあります」