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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第8章 療養編 蝶屋敷にて


そう言って 蜜璃達の後を追うように
杏寿郎が病室を後にした

「動いてもいいのか?重症の様に聞いたが…」
小さい声だったので杏寿郎の
耳には届かなかった様だった

「義勇!来てくれたの?
嬉しいよ。ありがとうね」
「胡蝶から話は聞いた、大変だったそうだな…」
「うーん、まぁねぇ、でも、大丈夫だよ」

義勇の視線が自分の顔に当たっている
ガーゼに向けられているのに気がついて

「酷いのか?」
「あ、コレ?大した事ないよ、擦り傷」
「…あげはの顔に、傷が残るのは…嫌だ」
しゅんとしている様に見えて
あげはがポンポンと義勇の頭を撫でる
「義勇は優しいね。
でも、私は平気だから、ありがとうね…
義勇は気にしなくて…いいんだよ?」

いつも…そうだ
あげはは俺の事を気にかけてくれる
優しい言葉をかけてくれる

それなのに…俺が
あげはの事を気にしたりすると
いつも こんな風に“平気” や“大丈夫”で
済まされてしまう

義勇は考え込んでるようで
私の言葉に対する返事はなかった

「俺は…そんなに頼りないか?」

あげはは俺を
俺が柱になる前から知っている
俺の事を自分の弟の様に
面倒を見てくれて世話を焼いてくれる
今まで 俺はそうされるのが心地良くて
その優しさに甘えてしまっていた

「義勇?」

「俺は、お前の助けには…なれないのか?
…俺は、あの頃とは違う、もう大人だ」

義勇は…私に 自分を頼りにして
欲しいって言ってくれてる

「義勇、…義勇にお願いしたいことがあるの」
「…俺に…出来ることなら。話せ」

「義勇にも、辛い思いをさせるかも
しれないんだけど…」
「俺は、大丈夫だ。…戦える」

じっと義勇の深い青い瞳が
真っ直ぐに自分に向けられてるのがわかった

「あげは」
「義勇、ごめんね…こんなお願いしちゃって…」
「気にする必要はない、
あげはがそうしたいと思ったのなら
俺は…それが、正しいんだと…思う。
倒すのだろう?透真さんを」

名前を…口に出すのも 躊躇われていて
名前を出さなかったけど…ずっと

「私は、ちゃんと自分の手で終わりにしたいの」
「俺のことを巻き込んでいると…
思っているのなら、それは違う」
「義勇?」

「俺だって、同じだ…」



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