第61章 蜂蜜と房中術 ※Rー18
お互いの身体を中心に
渦を成す 気の巡りが
触れ合い 混じり 色が溶ける場所がある
その色に意識を向けると
少しずつ そのお互いの気の色の混じる場所が
広がるのを感じる
ふぅーっと杏寿郎が息を細く吐き出して
呼吸を深めて居いたのを戻すと
「あげは。
君も俺と同じ物を視たんだろう?
こうして、触れ合わずして
向い合せに座って居るだけでも、
お互いの気を僅かにだが、
交換する事は可能ではあるようだ」
畳の上に置いてある本の表紙を
杏寿郎が手の甲で叩いて
「それについては、この中にもあるからな。
今ので、君も掴んだんじゃないか?
今の感じで、お互いの気の混じる範囲を
広げて行く、いいか?あげは」
そう訊ねられてしまって
ドキリと思わず胸が跳ねてしまった
許可を求められた事に何故か
心臓が騒がしくなってくる
「この方法は、神交術と言うらしい。
言わば、魂のレベルでの交わりだからな。
この方法は、相思相愛である事が前提で、
その上に、双方が、
肉欲からの離脱している事も条件な様だ」
肉欲??
「要するに身体が触れなければいいのなら、
こうして、すれば
イメージ出来るんじゃないのか?」
そう言って 杏寿郎が
両の掌をこちらに向けて来るから
その手の平に触れない位置で
自分の手の平を 杏寿郎の方へ向けると
体温ではない 熱を手の平に受けるのを感じる
その熱の様な物が
自分の手の平を押す感覚
それから 手の平を抜けて来て
皮膚の毛穴から取り込まれる様にして
毛細血管を満たし
ゾクゾクと手の中を巡る感触がして
「んんっ、はぁ…ん…ぁ、…ん」
「…っ…ッ」
その 中に混じる感覚に
行為とは全く違う種類の快感を感じてしまって
自然と お互いの口から声が漏れる
「成程な、身体を交わり合わせる体交法と
神交法では、神交法の方が、強い効果を
得られるらしいが…、今交わった範囲は
手の平の皮の中に少しの手の平と
手の甲の間の辺りまでだったが…確かに。
思わず、声を漏らしたくなるのは分かる」