第61章 蜂蜜と房中術 ※Rー18
お互いの事を”視て””読む”か
「成程、確かにそれが出来れば
距離が離れていても、
お互いの意思を交わす事も
理論上は可能…だな」
杏寿郎が腕組みをしながら
うんうんと頷いて
「恐らくにではありますが。
それの礎となる物は、既に
私の中にも杏寿郎の中にもございますので。
その道筋さえ、見えれば。
そちらの方法の習得も難しくは無いのかと」
「ふむ。
ここであれやこれやと。
論ずるより、するが早し…か。」
案ずるより産むが易し
とでも言いたいのか杏寿郎が言って
「そちらの本には、
具体的なやり方はあるのですか?」
「よし、あげは。
なら早速、実践だな」
ーーー
ーー
ー
明かりを落とした室内で
敷かれた布団の前に
向かい合って正座する
ゴクリと思わず固唾を飲んでしまった
身体を接触させずに
お互いの意識
即ち 気を交わり合わせる方法
「いいか?あげは」
「はい、お願い致します」
「では、始めるか。
まずは身体を清めるらしいが。
丁度入浴後だし、酒も身体に入れてるからな
外からも中からも清められてるだろう」
「その次に何をするのでありますか?」
「次に呼吸を整えて、己の気を整える」
杏寿郎の全集中の呼吸が
深まるのが聞こえて
その杏寿郎の呼吸のリズムに合わせて
あげはも己の全集中の常中からの
全集中の呼吸を
体内の流れを”視る”をしながらに
整えて行く
「……!?」
一瞬だったが 視えた気がした
自分が体内を整えるのと同じ様に
目の前の杏寿郎の体内の流れが
整い行く様が… 今 ほんの一瞬
視える
そして その見えた事で
動揺してしまって
その後の呼吸が乱れて来る
「あげは、呼吸が乱れてるぞ?」
視えた方に意識を取られているのを
目の前の杏寿郎に悟られてしまって
すぐに意識をそちらに集中させて
再び呼吸を研ぎ澄ませて行く