第61章 蜂蜜と房中術 ※Rー18
「中国の話では無いのですが、
杏寿郎は、アンドロギュノスはご存じで?
その陰陽和合に似た思想が、
アンドロギュノスにあります。
本来人と言う物は、生まれし時は
男女が結合した姿で両性を有する物だったのだと。
それが人の完全たる形であり、本来の姿なのです」
陰陽和合の思想に似た考えがあると
あげはが話を始めて
「後に、アンドロギュノスは、
男と女に引き裂かれるのでありますが。
それ故に元来の姿に戻ろうとして、
男性は女性を求め、その逆も然りにあると」
ふむと杏寿郎があげはの話に耳を傾けて
自分の顎を撫でると
「要するに、国は違えど
どちらの思想に置いても
男だけでも、女だけでも
完全にはなり得ないと言う事か」
「して、杏寿郎。その具体的な
身体を繋ぐ方法ではなくに、
千里先の相手と、魂を交わす方法と言うのは?
その本に方法が、あるのでありますか?」
パラパラと目次を見て
お目当ての方法が書かれているページを
杏寿郎が開くと
そのページに目を通す様にと
あげはの方にその本を向けて来る
「方法はあるにはあるが。
これは、まるで修行の様だな、あげは。
だが、修行であるならば。
これは、心して掛かるべきだな」
房中術と呼ばれるのは
男女1対にて行う 修行法の様だった
「杏寿郎、これは
私の個人的な見解にありますが。
呼吸の応用に、自分の体内を視る術が
ございますでしょう?」
それは俺が竈門少年に伝えた物であるし
あげはがそれの応用を
竈門少年達に教えていた物だが
「この、”視る”を自分の体の外にまで
広げた形が、それであると思うのですが?
鬼と戦いまする時に、相手の動きを
瞬時に、読みますでしょう?それは普段は
感覚や五感に頼り判断しますが。
熟練した剣士になりますれば、
その際に相手の気も読みますよね?
つまりは、離れた場所の相手を”視る”事で
相手の脳内の思考の流れを”読む”に
あるのかと解釈致しましたが…?」