第61章 蜂蜜と房中術 ※Rー18
杏寿郎がその本に手を伸ばすと
自分の元へ引き寄せる
その房中術について書かれている
本をパラパラと捲ってピタっと杏寿郎が
ページを順調に捲って居た手を止める
「何か、気になる内容にありましたか?杏寿郎」
「いや、何と言うか…その、この本は、
極意と言うか、教訓と言うか…だな。
いや、男の教本の様な内容だなと思ってな」
杏寿郎の声が上ずっているから
そう言う内容の事が書いてあるのかも知れないけど
「男女の交わりを正しく行えば
健やかに長生きできる、と言う考えの様だがな」
「はぁ、正しく…にありますか。
具体的には、正しくにとは如何様にせよと?」
「つまりに、交接は気の循環を目的とすべしと。
それと伴わずばただの性行為に過ぎないと」
交接と性行為の違い
気の循環が最大の目的と言う事か…
古代の中国の考え方…であれば
自分の記憶の引き出しを辿って行く
「では、普段は我々は呼吸を使用し
全身の血流を強化し、身体能力を高めておりますが。
中国では、昔から人は気・血・水の
3つの要素で成り立っており、
それぞれに巡っていると言う考えがあります。
その3つの流れを滞らせない事で
健康を保てると言う考えですので」
そこで一旦 あげはが言葉を区切ると
「全集中の呼吸は、言わば、体内の
血の巡りを強化させる行為。
血の巡りを活性化すれば、体内の
水の巡りも自然と活性化するので。
残りは、気の巡りを整えれば。
全集中の状態以上に、整うのかと…」
そう中国における
人と健康についての話を
全集中の呼吸と絡めてして来て
房中術も養生訓だと望月が言って居たが
呼吸だけでは整えきれない物を
整える…と言う意味と捉えろと言う物なのか?
「それで、気を整える為の、陰陽和合か…?
男は陽で女は陰どちらかだけでも
万物は成り立たず、合わさる事で
万物となると、中国の…真理の様な思想だがな」