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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第60章 気遣いと気遣い 後編



「でも、杏寿郎さんはそれも…
一緒に苦しんで、支えてくれるって。
一緒に乗り越えてくれるって。
それも、それだけじゃないんだよ?
どれだけそれに、
時間が掛かっても良いって。
私ひとりの罪なのだと…も、
思わなくていいって。
私に、そう言ってくれたから」

あげはが目に涙を浮かべながら
ニコッと笑顔を千寿郎に向けて来て

「ね?凄いでしょ?そんな事…普通は
言えないよ?貴方の兄上は、そんな事が
自然に言えちゃう人…。だから…、
私は、彼と…透真さんと戦えるんだよ?
杏寿郎さんが居るから、戦える」

「姉…上ッ…」

ギュッと千寿郎が両手で
あげはの右手を握って来て


「せ、千寿郎君?」

その手に痛いと感じる程の
力が込もるのを自分の右手から感じる


目の前の彼の

感情を私に伝えて来てくれていて



「この千寿郎、兄上と姉上のご無事を
お祈りしておりますから、どうか…ッ。
ご無事に…ッ、お戻り…になって…下さい。
お二人で、必ず、お戻になって下さい!」



今まで 色んな人と

先の約束を沢山にして来たけど


ここまで 真っすぐに真っすぐな


無事を願う 


約束を望まれてしまうと


応えないとと感じずに居られない



スッとあげはが空いていた左手で
千寿郎の頭をよしよしと撫でる


「ちゃんと、帰って来るから。
杏寿郎さんと、一緒にね?
だから、千寿郎君。
その時はまた、さっきみたいに
縁側で4人でお茶飲も?」

「はい、必ず。後、
稽古も、稽古も…、
付けて下さい…ッ」

「うん、
稽古も一緒にしようね。約束する。
それに、私は。
あの千寿郎君の、お義母様の
黒留袖を着て、千寿郎君の
結婚式に出ないといけないしね?」


ああ それでだったのかと

千寿郎は理解した

父上が姉上に あの母上の着物を


何が何でも

受け取らせたいと言った理由


そうか あれは 父上からの姉上に対する

直接的な言葉での 伝え方ではないけど



今の自分が こうして

色々と先の約束を取り付けようとしている


その理由と同じ理由で



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