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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第60章 気遣いと気遣い 後編



千寿郎の言葉に
あげはが ううんと首を横に振る


「そんな事はない、
そんな事は…ないよ?千寿郎君」

「姉上…、しかし…ッ」



「彼はね…今、鬼になってる。
でもね、ただ、
鬼になってるんじゃなくて。
半分は鬼で、もう半分の彼は
人のままなんだと思うの。
正確に言うとね、ひとつの身体に
2人の彼が居てね。
片方が鬼になっちゃってる」


「あの…その、鬼の方だけ…を
倒したりとか…出来る方法は…無いのですか?」


鬼を滅する事が出来る


唯一の方法は

日輪刀で首を斬るか


もしくは 陽光でその身を滅するか


その 二つしか存在していない


その事実は 代々鬼狩りを

炎柱を継承して来た


煉獄の家に 生まれたのだから

千寿郎にも分かり切っていた事なのに


自分でも 何故だか 分からないが

そんな 出来もしない事を


口に出してしまっていて


千寿郎の言葉にあげはが
少しその眉を下げると
首を静かに左右に振った


「それが出来るなら、きっと…誰も…ッ」


こんな風に 苦しむ必要もなく

その日を迎えられるだろう


誰もが…


彼を…想ってるのだから


彼を師範として仰ぎ

彼を親友として信頼し

彼を兄の様に慕っていた


そして私は 彼を

三上透真…さんを…


フルフルとあげはが首を横に振ると
自分の中に湧いて来た
その考えを否定する


あの薬が 彼と彼を切り離してくれる時間も


限られた ほんの僅かな時間だと聞いている



「その結末が選べるのなら…どんなに……」


どんなに 良かっただろうか…?


「すいませんっ、何も知らずに
知った様な事を言ってしまいました。
姉上、僕は…何と言う事を…ッ」


その千寿郎の顔を見て 
あげはは ハッとしてしまった

自分なんかよりもよっぽど

目の前の彼の方が
今にも泣き出しそうな顔をしていたから



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