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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第60章 気遣いと気遣い 後編




余り正直に言いすぎるのも

彼には驚くばかりだろうし

かと言って 嘘偽りを伝える訳にも…



「正直な所ね、分からないの。
彼はきっと、許してくれるし、
くれているんだと思うけど。」


直接 彼からそれを聞いた訳じゃない

それは

そうあって欲しいと言う 希望でしかない


自分の願望でもあるのかも知れない


彼にとっては それは…きっと



「分からないのですか…?」


どっちつかずで 曖昧な返事を受けて
千寿郎の言葉にも迷いが満ちている


「それを、自分が
許していいのかとか…もね。
私は、彼が要るから
生きてるみたいな物だから」

「……?」

それが分からないのに
どうしてそれは分かるのかと

言いたげな困惑した表情を千寿郎がしていて


彼に どこまでを話せば

どう伝えればと 言葉に悩んでしまう


「千寿郎君…、聞いてくれる?」


あげはが千寿郎に
背中を向けたままでそこまで話すと

くるっと千寿郎の方へ向き直って

その場で腰を屈めて落とすと

下から 千寿郎の顔を見上げて来る


「彼はね、元鬼殺隊士だった。
ううん、元柱だったの。そう、
それも只の柱なんかじゃない、
鬼殺隊最強と謳われていた水柱だったの。
それが彼、三上透真…と言う人」

その人は 元鬼殺隊士

それでいて 兄上や父上と同じく

柱をしていたのだと聞かされる


元 であるなら 今 その人は何を…


「あのッ、姉上っ。
今は、今はその方はどちらで、
何をなさっておられるのですか?
今は柱でも、鬼殺隊でもないのなら….
その方は、今は何を…」

千寿郎と合わせていた視線を
あげはが床に落としてそのまま

目を閉じると 

一旦呼吸を整えて


「彼は、とても優しくて
穏やかな人だった。
温かい春の日だまりの様なそんな人。
いつも、彼の側には
色んな人が集まっていて。
彼が周囲の人を、
大切にして愛して居た様に、
彼も周囲の人に愛されていたの。」



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