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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第60章 気遣いと気遣い 後編



「あの、父上?
どうかなさったのですか?」


心配そうにこちらを見て居る
千寿郎と目が合って



「何でもない、酔いが回っただけだ」

「しかし…」



「千寿郎君。
これ空いてるの、下げるから
片付けるの、お手伝い頼めるかな?」

「あ、はい。分かりました」


そうあげはが千寿郎に申し出て来て
空いてる分…と言っても

大した量ではないのだが

一緒に片付けをして欲しいと
あげはから言われて
理由も分からないまま

縁側を共に後にした
あげはの後を追って
千寿郎もその場を後にした

台所へと そのまま廊下を移動して

「あの…」

廊下の真ん中辺りで
千寿郎が足を止めて

ギュッと握った拳を
自分の胸に当てて

そのまま 黙りこくってしまって


その言葉の先の言葉を紡ぐのを

躊躇っている様子だった


「どうしたの?千寿郎君」

「その、父上が言っていたのですが。
姉上にとって、その…、
三上透真殿と言う方は…
どう言った…方なのですか?」


三上透真…


千寿郎の口から出た

三上透真について教えて欲しいと言う言葉


当然だな…と あげはは思ってしまった


槇寿郎様は 元々彼を知って居るし


私が彼と交際していた事も知っている


その 結婚を考えていたと言う事も…だ


私と彼のその辺りの事情も知っている


だけど 槇寿郎様は知って居るけど

彼は 千寿郎君は それを知らない


自分の兄と結婚すると言う相手に


他の男の影があるなら

その相手は何者なのかと


疑問を持つのも 不審に思うのも自然な事


自分の父がそれを知りながらに

多くを隠す様に
口にしない事もきっと


彼の中の疑問を育てるのには十分だ…


「千寿郎君…?」


「その方は兄上と、姉上のご結婚に
ご反対なされているのですか?」


素直過ぎる 千寿郎に対して

どう言葉を返すのか…迷ってしまった


私と彼の因果も 関係も

簡単な言葉では 到底 

言い表せはしないだろうから


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