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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第59章 気遣いと気遣い 前編


そう言ってそそくさと
清水がその場を後にしてしまって


「でしたら、杏寿郎さん。
槇寿郎様とお二人で、親子水入らずに、
お風呂の支度が整うまで。
お飲みになられては?」


そうあげはが
槇寿郎と杏寿郎に声を掛けて来て


「そうか、
可愛い娘が言うなら、そうさせて貰うか。
どうだ?杏寿郎、それでいいか?」

「ええ、俺は構いませんが…」

「でしたら、
ぬるめにお付け致して参りますので、
少々お待ち頂けますでしょうか?」



「ああ、頼む」

そう あげはに槇寿郎が返して

「はい、畏まりました。では」

小さく あげはがふたりに頭を下げて
台所へ向かうのを 千寿郎も
後を追ってついて来て

「姉上、僕も…お手伝いさせて下さい」


縁側にふたり少し離れて腰を降ろして

空に浮かぶ 月を槇寿郎が見上げた


前に杏寿郎とこうして
ここで 酒を飲んだのは

3週間ほど前の話になるのか…


「もうすぐ…、なんだな」


そう漏らす様に槇寿郎が言って

満ちてゆく 膨らみのある月を眺める


後 4日後には


杏寿郎とあげはは アイツと
三上透真と対峙する事になる…のか


「父上。
俺は…ご存じにあられるでしょうが。
この戦いが終わったら、
あげはと夫婦になるつもりにしています。
この戦いは俺達だけの、戦いでもない。
共に戦ってくれる、俺達がそうなる事を
望んでくれている仲間が居ます」

驚く程に 杏寿郎なのかと
問いたくなる様な そんな
落ち着いた静かな口調でそう

槇寿郎に向けて 杏寿郎が言って来て



「それに…俺は、
彼こそが我々の最大にして最強の
味方だと思っておりますが?」



そう言って 穏やかな
笑みを杏寿郎が浮かべて


その笑みに かつて見た


あの 三上透真の 彼の笑顔が重なる



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