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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第59章 気遣いと気遣い 前編



夕食を摂るのに居間に向かうと

そこには既に 
槇寿郎と千寿郎の姿があって


「槇寿郎様。先ほどは、とても
素敵なお心遣いを頂戴いたしまして。
ありがとうございました」

「別に…、俺は大したことはしておらん。
明日は、晴れの日である事には違いないからな。
祝言…に比べれば、
只の通過点にしか過ぎん物かも知れんが…」

どうにも 落ち着かないのか
槇寿郎があげはから視線を逸らせつつ
そう返して来て

「いいえ、それは違います」

あげはが槇寿郎の前に移動すると
自らの腰を落として
槇寿郎の視線に自分の視線を合わせると


「明日は、私にとって
特別な日に違いはありません。槇寿郎様。
杏寿郎さんと結婚をするのでありますから、
お家とお家を結ぶ、
結納を取り交わすのは勿論にありますが。
血の繋がりのある、血縁を持ちません私の
家族として…蝶屋敷の者が出てくれますので」

あげはが自分の胸に手を当てて
反対の手をその手の上に重ねると

「今は蝶屋敷の主は、
蟲柱胡蝶しのぶにありますが。
前の主人である、しのぶの姉の胡蝶カナエは
私の親友でもありました。形見分けに
彼女の振袖を預かって置きながらに、
恐れ多くそれに袖を
通す事も出来ぬままにあったので」

「胡蝶カナエ…か、カナエの事は
俺も少なからずに知っている。
鬼に対しても慈悲の心を持った、
心の優しくも揺るぎない
信念を持つ鬼狩りだった」

そう槇寿郎がカナエを
偲んでそうあげはに伝えて来て

「彼女の残した、
その振袖に袖を通して初めて。
私は、彼女の、
遺した意思を継ぐ事が出来るのだと
そう、考えております。そして、
私に、その勇気を与えてくれたのは。
槇寿郎様の、ご子息にあられます。
感謝、致しております。槇寿郎様」

あげはの言葉に槇寿郎が腕組みをすると
ふんっとつまらさなそうに鼻を鳴らすと

「その礼ならば、俺ではなく
杏寿郎に言えばいいだろう?」



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