第59章 気遣いと気遣い 前編
「甘いな…、蜂蜜が甘いのか
それとも、君が甘いのか…
これでは、良く分からない様だ…。
あげは、いいか?
このまま…、確かめてみても?」
「んぅ、んッ
んっーん゛、ん、は、…ふぁ」
そう言って 耳元で囁いて来る
杏寿郎の声の方がよっぽど
自分の口の中に残ってる
蜂蜜の味なんかよりも
甘くて 蕩けてしまそうなのに
杏寿郎の指で口を開かされて
蜂蜜の味の残るその指が
口の中に残って居るのに
開かされた間から
舌が口の中に入って来て
指と舌で 舌を刺激されてしまう
口の中が埋め尽くされる様な
そんな息苦しさを感じて
クラクラと眩暈を憶えそうな口付けを
容赦なくに与えられてしまうから
「んぅ、ふ…んっ、はぁ…ッ」
そのまま 彼の反対の手が
スルスルと背中を撫でて来て
そのまま 腰に手を当てられると
ググっと仙骨を押されると
反射的に背中を張ってしまって
身体を反らせてしまうから
より 口の中の深い場所まで
その舌と指が侵入して来て
喉の近くにまで指先を感じて
むせ込んでしまいそうな感覚と
嘔気にも似た感覚を味わいながらに
舌で舌の裏側を同時に舐められてしまって
ゾクゾクとした感覚が
舌の裏側から広がる
喉の近くに添えられた指先が
今度は舌先に触れて来て
舌の裏側を舐めている
舌の動きに合わせて
あげはの舌の中ほどから
先に掛けて 表からと裏から
扱く様にして刺激されて行くと
今までの口付けで
感じた事の無い様な
そんな快感が
口の中から生まれるのを感じる
こんな…口付け…した事…ない…
ゾクゾクと身体が震える様な
そんな 甘い蜂蜜の様な
甘い 痺れがあげはの身体を包む
「んぅ、はぁ、あっ、ん、ぁあ、んッ」
「どうしたんだ?あげは。
蜂蜜の所為で君の声まで、
こんなにも、
甘くなってしまったのか?」
「んっ、杏寿郎…あぁ、んっ、
んぅ、これ以上…は、ッ、お許し…をッ」