第59章 気遣いと気遣い 前編
トロっと指から 蜂蜜が滴り落ちて
その蜂蜜の味と香りが口の中に広がる
「どうだ?美味いか?」
「ん、…蜂蜜の味…にありますよ?」
「なら、もっと、味見するか?あげは。
少量にしたつもりだったが、まだあるからな」
口の中を蜂蜜の味にするのに
出した蜂蜜が 余ってしまっていると
杏寿郎が言って来て
あげはの口の中の指を戻すと
今度は二本の指に
器の中の蜂蜜を絡め取りながら
自分の指に蜂蜜を纏わせて行くと
その 蜂蜜に濡れて
テラテラと光る指を2本
こちらに向けて差し出して来るから
そっと指先の部分だけを口に含んで
その甘さを
あげはが舌先に感じ取っていると
「っ…ふ…ッ、んぅ」
「もっと、その奥にも付いてるだろう?」
グイっと2本の指を
口の奥まで差し込まれて
喉元に近い辺りにその味を感じる
「んっ、ん゛ーんんぅッ、ふっ、…ん」
そのまま 杏寿郎の指で
口の中を蹂躙されてしまって
唾液と絡んだ蜂蜜を
あげはの舌に指で塗り付ける様にして
指で舌を弄ばれて居ると
口の中が蜂蜜の味と香りに満たされて
その甘さに 眩暈がしそうになる
「どうだ?甘いか?」
そう問いかけられるも
口の中に指を捻じ込まれてるのだから
言葉が紡げるはずもなくて
「んぅ、…ふぅ、ん、んぅ…く」
杏寿郎の指を噛む訳にも行かずに
あげはの口角の端から
唾液と蜂蜜が混じった物が
零れて 顎へと向かって
伝って行くのを感じて
「零れてる…ぞ?あげは」
自分がそうさせている癖に
杏寿郎がそうこちらに言って来て
一度零れてしまった物を
垂らすままにしか出来ないのは
分かって居る癖にそんな事を言われて
「…なら、こうしよう」
そう言って 杏寿郎の舌が
そのどちらとも知れぬ液体を
自分の舌でペロリと舐め取ってしまって