第59章 気遣いと気遣い 前編
「お召しもの、全て
お脱ぎになられましたら。
こちらの方で、
横におなりになって頂いても?」
その傍らに座っている美顔術師に
横になるように促されて
促されるままに その上に横になると
「それでは、施術を致します」
「致します」
そう二人がこちらに丁寧に頭を下げて来て
美顔術の施術が始まった
大量の蜂蜜を贅沢に使った
施術の様で
部屋の空気から味がしそうな程に
部屋の中が蜂蜜の香りに満たされている
「本日は、とても上等な蜂蜜を
沢山ご用意頂いたので、贅沢に
使わせて頂きます」
どうやら その美顔術師の人の話によると
蜂蜜はこちらで用意する手筈だったらしく
屋敷の人が用意をしてくれていた
蜂蜜は蜜璃ちゃんの所の蜂蜜の様で
とても 上質な蜂蜜だと
蜜璃ちゃんの蜂蜜の事を
話していたのが印象的だった
蜜璃ちゃんに今度出会ったら
そう言ってたよって伝えたいなぁって
そう思っている内に あまりの心地の良さに
いつの間にかうとうととしてしまっていて
眠ってしまっていた様で
終わりましたと言われて
あげはは目を覚ました
『お化粧の方は、
目元と口元にだけ施してありますので』
そう言われて鏡を見せられると
確かに肌の部分には何も乗ってないが
眉と目元と口元の化粧のお陰で
肌は素肌のままなのに
化粧をしてる様に見える
それに この張りと透明感
信じられない これで素肌なのか…
そっと自分の頬にあげはが触れてみる
もちっとしたつきたての餅の様な
柔らかさと弾力と
肌に吸い付いてくる様な感覚
十代の女の子の様な
プルプルとした みずみずしい
そんな肌になってる
それに 顔……小さい?
こんなに 顔 私 小さかったかな?
「かっさを用いた、
フェイスマッサージを致しました。
顔のむくみを改善して、小顔になりますし。
開いた毛穴を閉じて、血流を促進し
肌の透明感が増しますから」