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その恋は琥珀糖のような【鬼滅の刃】【煉獄/救済】

第58章 虎と虎



それから 杏寿郎は

あげはが千寿郎に
稽古を付けているのを
ぼんやりと眺めていた


「そうそう、千寿郎君、上手。
うん、いい。その調子。
いい感じ、そのままそのまま。
ここ、に力入れて、
そう身体がぐらぐらしちゃうから」

そう言ってあげはの手が
千寿郎の背骨を上からなぞって

グイっと背中を反らせて胸を張らせる

「こう、こうしてね、胸を反らせると
広がるでしょ?」


「こ、こんな感じにありますか?姉上」


「そうそう、良い感じ。
そう、うん、上手ね。千寿郎君」


上手く出来ていると褒められて
千寿郎は嬉しそうな顔をしてるし


「じゃあ、そのまま、さっきみたいに
打ち込んで来て?いいのいいの、
もう、肋骨はほとんど治ってるから。
さっきみたいに、遠慮しなくていいから。
ね?思いっきりしてくれる?」


「はっ、ハイッ!では、遠慮なく…」


縁側で二人の稽古を見て居たのだが
見ているだけではつまらなくなったのか

凄い 威圧感のある視線を
杏寿郎から感じる


「あげは、
千寿郎には俺が稽古を付けよう」

「え。あ、はぁ…、では
お任せ致します。私は、
一旦下がらせて頂きますね。
お夕飯の支度のお手伝いでも
してまいりますので」


そう言って
小さく頭を下げて

母屋へ向かう
あげはの後ろ姿を見送った


「さぁ、千寿郎、俺が稽古をつけよう」

「はい!ありがとうございます。兄上」



槇寿郎が稽古着からいつもの
着流しに着替え終えて部屋から出ると

確か 千寿郎の稽古をつけるのは
あげはが引き受けていたはずなのに

あげはが何故かここに居て


「あげは?
お前は何故ここに居る?
確か、千寿郎と
稽古をすると言ってなかったか?」

槇寿郎の言葉に あげはがちょっと
困った様な表情を浮かべて

「いえ、それが。
…そうして居るのを
杏寿郎さんが、見学していたのですが。
私の稽古の付け方が
気に入らなかったのか、
お役を交代を杏寿郎さんに
申し入れられてしまいまして…」


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